In New Orleans [DVD] [Import]
トゥーツ・シールマンスは、美しくて暖かい音色を持つハーモニカ奏者、と認知している人がひょっとして多いのかも。でも、ただ美しいだけ、暖かいだけではないのです。ジャズ奏者としての能力をいかんなく発揮しているのがこのDVDではないかと思います。イージーリスニングではなくジャズ・ハーモニカを求めるのなら、ぜひ聴いてみてください。それと、ピアニストが結構曲者。こちらにも注目!
ワード・オブ・マウス
80年代がどのような時代だったかという問いに答えるには十分な時間や歴史を重ねた今となってはそれほど難しいことではないのかもしれない。しかし、ジャズの本流を50年代〜60年代に置いたものにとって、エレクトリック、ファンク、フュージョン、ブラック・ミュージックなどが渾然と押し寄せ、なおかつ新伝承派的なオーソドックスなジャズとの混沌とした世界に自分を見失う思いがするのだ。もちろん時代は動いているし、リアルタイムに自己の時代の空気を感じていればいいのだろうが・・。そんな時、このアルバムと出会った。80年代以降、ベーシストの存在がグループのあり方を決定するほどの影響力を持つことに驚きを禁じえないが、ジャコもまた、そんなミュージシャンとして、WRに参加し、グループに大きな足跡を残した。ジャコの最高傑作の呼び声高いアルバムだけに、期待して聴いた。ハービー・ハンコックやショーターといったかつての大スター(現在もそうであるが)を脇役に、天才ジャコが、80年代ミュージックを展開している。そのサウンドは、超絶的なベースのテクニックや総合的に構成されたアレンジの凄さだけでは形容できそうにない何かがある。単に、ポップであるわけでも、前衛を気取っているわけでも、ハードを売り物しているわけでもない。たた、ここにある音楽がおそらく80年代の最良の音楽の一つであることは確かであろう。
Affinity
トゥーツのハーモニカはどうしてこれほどにも感情に訴え掛けるのだろうか。
これはもうトゥーツ自身のアルバムと言っても過言では無いでしょう。
涙なくしては聞けない、そんな一作です。エバンスの弾くエレピもなかなか良い感じです。
モンマルトルの夜をもう一度 [DVD]
繊細なタッチでアシストする彼(企画製作者のニルス・ラン・ボーギー)のピアノはもちろんのこと、映像の構成、音へのこだわり、なによりも人々への優しい眼差しがいきている。
育ててくれた音楽を、自身で受け止め、次代に受け継ぐという主題が明確に表現されたドキュメンタリー作品。映像表現者としての力も見事なものだ。
三人の大ベテランを囲む人間模様に心うたれる。「人間っていいなあ〜生きてるっていいなあ〜」と実感させられる。この中では最年少だが、すばらしい歌唱力で圧倒するリサ・ニルソン。「失敗したっていいのよ、またやり直せばいいのよ」と語る彼女の言葉も心に残る。
観終わった後、サウンドトラック盤CDに手が伸びる。ライブの臨場感をいかしつつ、細部の音処理が見事で、ここにも企画者のセンスと力量を感じさせる。