時間の歩き方 I (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
タイムトラベル能力を持ってしまった主人公が大切な人を助けるために時をかける物語…
と書くと、どこかのアニメ映画を思い出しますが(笑)、個人的にはこっちの方が面白かったです。(その映画も好きですが)
始めは確かに冒頭に書いたような話が展開していくのですが、そこからさらに話が広がっていくのがこの漫画の面白い所。時間に閉じ込められた主人公と、同じような状況に陥った皮肉屋の青年。彼らの旅の今後がとても気になります。
個人的には、1巻だけ買って続きを買わない漫画が多い中、1巻でこれほど楽しめた漫画は久々でした!ぜひ多くの人に読んでほしい漫画です。
作者の方は綿密に世界観を練っているようなので、それが活かされた面白い物語が展開されていくことを願い、期待を込めて☆4つ。
聖モエスの方舟 3 (サンデーGXコミックス)
世界制服のスピンオフ的な立ち位置ですが、別にこの作品から読んでも何の問題もありません。長編少年少女向けSF。
ジュブナイル・ティーンズ……言い方は色々ですがSFやファンタジーを材としたこれら少年少女向け小説は私が思春期の頃にけっこう隆盛を極め(20年以上前か……)、その後ライトノベルという大奔流に飲み込まれ、今となってはアニメの焼き直しとしか言いようが無いラノベ大勢の中で細々と心ある作家がなんとか書いているというところまでやってきました。
(ラノベなど読まない上の年齢層の方に一言言えば、ラノベの中にも心ある作品はあります。なぜかアニメなどで人目につくとこにはあまり出てきませんが)
さて、原点回帰と言うかある意味回顧的とすら言える懐かしきジュブナイルSF作品である本作です。
とくに新味があるわけではないのですが、すべてにおいてきちんと作られております。きちんと設定をし、きちんと成長を描く。
この「きちんとしている」のが今のラノベ(の主流)と昔のジュブナイルの違いです。
きちんと設定されているため、「冷たい方程式」ではないですけど少年少女を戦場に駆り出す大人たちの立場というものに不快感を抱かずにおれます。また少年少女の各個に対してもまた、不快に思わずにおれます。つまり彼らは一人一人それぞれの事情を抱え、それぞれ懸命に生きている、と理解できるのです。少年少女の成長についても、地味にしっかりと段階を踏んで書かれています。
なんか当たり前のことを言ってるみたいですけど、今のダメなラノベはそれも書けてませんからね。同じアニメのテンプレートを用意されたとしても、ちゃんとそこに生きた人間を描けるか・自分が人間すらテンプレで書いてることに気づきもしないか、の違いと言いましょうか。
なんか余計なことまでだらだら書いてしまいましたけど、榎本さん、かなり意識的にかつてのジュブナイル作品を書こうとされてるように思いました。本来の物語というのはこうなんだよ!と
あ、3巻の内容触れてないや(^^; 成長と覚醒の過程の物語でした。て簡単すぎか(^^;
エリスが巨乳なのと友絵の視線の先がやたら気になりました。て台無しや