恋愛睡眠のすすめ スペシャル・エディション [DVD]
主人公は『本当は発明家になりたい』と語る子供の心を残すシャイな青年。奇抜なアイデアを持つのはいいが夢と現実との区別がクローネンバーグ的に怪しくなる妄想癖あり。そんな彼が「分かり合える」と思える女性と出会い、恋愛ならではの高揚と不安(これが実にリアル)に翻弄される。
ヒロインのシャルロット・ゲンズブールはやや浮世離れした飾らない造形が絶品。美人で快活な友人エマ・ド・コーヌ、凄まじく下品で面倒見のいい先輩アラン・シャバをはじめ妙なやつばかりだが、ありがちな鼻につく珍妙さでは全くなく素直に大笑いできる。
夢世界は、思い通りにならないもどかしさといい奇妙な論理といい夢そのものとしか言いようがない。CGを一切使わない完全手作りの映像も驚異だ。夢に限らず映画全体に物づくりのほのぼのとした暖かみがあり音楽も趣味がいい。
同時に、無性に哀しい映画でもある。根底にあるのは世間とズレてしまって自分の居場所が定まらない主人公だからこそ味わう孤独。彼に訪れる共感と拒絶。巣のような寝床に丸くなってまどろむ場面などの、微温的なのに寒々しい空気は類を見ない。
特典映像は映画を一層楽しめる内容。40分のメイキングで監督の個人史とともに映画の構想が練られた経緯が語られ、関係者のコメントも多数収録。夢世界のあれやこれやがこんな創意工夫と文字通り手作業で撮影されたのかと驚く。11分のアイテム紹介では小道具作者に仕事場でインタビューし作品への熱い思い入れを伝える。音声解説は楽しい掛け合いで各人が舞台裏や自身の意図を明かし、作品への解釈をたたかわせる。木訥にぶっちゃけまくりの監督が微笑ましく、本当に主人公が彼の分身だとよくわかる。ビデオクリップは夢の中で猫コスプレの主人公が捧げる求愛歌。他に予告編集。日本語吹き替えはミスキャストか。パッケージも上品な遊び心があって好印象。良い映画を良い形で届けてくれた。星五つ。
統合失調症 (PHP新書)
100人に1人の発症という意外に身近な心の病、統合失調症について、それを知らない人も具体的に理解できる。例えば芥川龍之介の患った注察妄想など。
何よりも病む者の側に立つ視点がこの著書にはある。つまり遺伝や性格だけではなく、それ以上に社会的な要因に照明が当てられる。近代化されていない社会との比較は説得力がある。逆に言えば、今日の社会や家族の側の受容体制こそ問題なのかもしれない。
フィルターをかけるのが苦手という認知的特徴は、病の早期発見に繋がるのだろうか。まだまだ解明されていないことは多々あるようだ。
この病の治療史の概略や治療薬についての言及がきちんとあり、特に患者を支える家族にとり役立つと感じられた。
PRANA DANCE
トム.ハレルの2008年録音のアルバムです。この人は去年初めて自分のクインテットで来日したのですが、実は演奏した曲の大半がこのアルバムの中からのものでした。普通ミュージシャンがライブを打つとなれば、レコ発で新曲やる、とか、ファンサービスで過去に書いた自分の代表曲をやるなんてのが普通ですが、この人はそうではないのです。今自分のやりたいことをやるし、昔書いた曲はやらない。それって凄いことです。しかも今回のアルバムに収録された曲はシンプルながら和声的に凝ったものやら変拍子やら曲の密度が非常に濃いです。フェンダーローズの使い方も効果的です。トムさんは永年統合失調症に苦しんでいますが、この病気のおかげでこういう姿勢で音楽を続けられるのか、病気にスポイルされなかったらもっと怪物なのかよく分かりません。分かることは今のクインテットになってからトータルなバンドのサウンドも含めて凄いことになっちゃってる、ということです。今年来たらここでやってる曲はやらないかもしれないなぁ。いやはや驚きました。
脳からストレスを消す技術
ストレスには、「身体」のストレスと「心」のストレスがあります。
「心」のストレスの中には、さらに2つあり、全部で3つに分類されます。
それは、なんとお釈迦さまが苦行して得た結果と同じです。
その3つとは、1.痛み、2.快が満たされない状態、3.他者に認められない状態だそうです。
すべて脳の前頭前野の部分で感じているのですが、1.痛みに関しては、「仕事脳」という部分に属し、
そこではノルアドレナリンが分泌されています。ノルアドレナリンが過剰になると、怒りや危険を伴います。
2のストレスは、「学習脳」という領域で感じていて、ドーパミンを分泌しています。
ドーパミンも過剰に出ると、興奮や快感をもたらしますが、それも度を超えると危険です。
3のストレスは「共感脳」という領域で感じられ、セロトニンを分泌しています。
セロトニンは、一定に放出されるので、正常な人の場合、過剰放出がないのです。
ストレスを解消するためには、このセロトニンの働きに注目していきます。
なぜなら、トレーニングによって構造を変えられるのは、唯一セロトニン神経だけだからです。
セロトニン神経働きを観ると、一定に放出するため、
規則的なインパルス(電気信号)が出ていることが分かっています。
その効用は5つあります。1.クールな覚醒をもたらす。いわゆる座禅をしているような状態です。
2.平常心の維持、3.交感神経の適度な興奮、4.痛みの軽減、5.よい姿勢の維持があります。
まずセロトニンを良く働かせるためには、「太陽の光」が必要です。それも「朝日」です。
朝日をしっかり浴びるとセロトニン神経がしっかり働き、夜暗くなるとそのセロトニンが、
メラトニンになっていきます。
メラトニンは、不眠症の解消にもなり、アンチエイジング効果もあるのです。
時間による規則正しい生活ではなく、太陽による規則正しい生活が、いい状態を作ります。
またセロトニン・トレーニングは他には、「リズム運動」が効果的です。
1日5〜30分でいいので、続けることが大切です。
「リズム運動」には、呼吸法、座禅、ウォーキング・ジョギング、咀嚼などがあります。
そしてそれだけでなく、「涙」が実は効果があるのです。
涙には、1.基礎分泌の涙、2.反射の涙、3.情動の涙があります。
この情動の涙こそ、感動の、共感の涙なのです。「笑い」よりも、ストレス解消に効果があるです。
と、かなり、はしょってみましたが、
人間の構造って、とてもよくできているのですね。
神の創造物だと思ってしまいます。
そして、人は、やはり夢や希望を持つように、できているんだと思います。
くわしくは、もちろん読んで吸収してください。
ビューティフル・マインド ― アワード・エディション [DVD]
統合失調症の人の苦しみが丁寧に描かれている。やがては、病による症状を幾分残しながらも、その症状への対処の仕方を学び、教師としても数学者としても賞賛される存在になるジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニアの偉大さに感動。母校プリンストン大学の教授用食堂で、若いころに見て憧れていた賞賛を思いがけなくも受けるシーンには、感激のあまり涙が出た。学者同士がどのような形で敬服を伝えるのか、ナッシュならずも、この賞賛の仕方には憧れる。彼を何十年に渡り精神的・経済的に支える妻アリシア、自分の出世の妨げになるかもしれないのにナッシュの可能性を信じ大学に受け入れるハンセン、ナッシュが病気であることを知っても才能を信じ彼から学ぼうとする学生たち。このような周りの人達のナッシュに対する愛があってこその再起である。