Anita Sings the Most
ジャケットは個人的には許しがたい。白人女性ジャズ・ヴォーカル物はやはりヴィジュアル優先で聞く人もいるのに、この大口開き写真はない。
中身は最高なので、映画「真夏の夜のジャズ」でのエレガントな彼女の姿を頭に思い出しながら聞くといいでしょう。
ちょっとハスキーな声、”小粋な”フレージング、エラやサラのスタイルとは違った経路をたどって最終的には同じところに来た、という音楽。
テネシー・ワルツ~女性ヴォーカル・ベスト・セレクション
ジャズ・ボーカリストなどさまざまな女性シンガーの名曲ばかりを揃えたオムニバス。パティ・ペイジの「テネシー・ワルツ」をはじめペギー・リーの「ブラック・コーヒー」などのスタンダードナンバーがずらりと収録されていて聴きごたえは十分。このシリーズはSHM-CDなのでボーカルや各楽器の音が明瞭で全く原盤の古さを感じません。半分以上はモノラルにもかかわらず全く音楽をスポイルすることがありません。かえって落ち着いて聴くことができます。
Live in Tokyo 63 [DVD] [Import]
この映像は、以前、日本のポリドールから「Anita O'day In Tokyo '63」として、ビデオ、LDで出されたことがあります。TBSのスタジオで客無しの収録で、15曲を歌っています。モノクロ・ビデオ映像、モノーラル録音です。
伴奏は、ボブ・コーウィンのピアノに宮間利之とニューハード、中間で日本人のコンボ(猪俣猛、伏見哲夫、原田忠幸ら)。
ビッグバンドの編曲は、バディ・ブレグマンのもので、日本の誇る一流バンドの非常に立派な伴奏に乗って、当時43歳のアニタは、手馴れたスタンダードを快調に歌っています。コンボの曲では、日本人プレイヤーが硬くなっているのがわかり、とても微笑ましいものがあります。
内容は、全篇、文句無く素晴らしいもので、アニタファンはもとより、ジャズボーカルファン必見です。いずれにしても、これだけ貴重な映像が日本に残っていたことは、世界に誇るべきことでしょう。
ただ、ひとつ残念なのは、画像が、以前の日本盤と比較して、若干ピントが甘く、ざらつきがあるということでしょう。初めて観る方にはそれほど気にならないとは思いますが。
ちなみにリージョン1ですが、我が家の普通のDVDプレイヤー、パソコンでは普通に再生できました。
余談ですが、TBSには、未商品化のシナトラの’62年東京でのライブビデオが、2種類あるはずですので、今度は、どこかで出して欲しいものです。
真夏の夜のジャズ [DVD]
先輩レビュアー氏が書いておられるように、本作の白眉はアニタ・オディだと思う。
「夜」じゃなく真っ昼間なのが皮肉だけど(笑)。
聴衆も東海岸のハイソな雰囲気があってお洒落。
Leicavitつけたライカ3fを構えた女性が、カメラを縦に構える一瞬と、
頭だけで軽くスイングしている中年夫婦が格好良い。
当時の風俗までうかがい知ることが出来る、
単なるジャズオタ向けの記録映像にしなかったことは立派。
アニタ・オデイ・シングズ・ザ・ウィナーズ+7
アニタ・オデイ50年代後半の快作アルバム。ジャズの王道を行くポール・ウイナーたちの名曲を軽いタッチであっさりと歌ってのけるアニタはやはりただものではない。エリントンのA列車で行こう、ガレスピーのチュニジアの夜、マイルスのフォア、ゲッツのアーリー・オータム、ケントン楽団で、ゲッツ、シムズらのフォア・ブラザーズ、ベニー・グッドマンのシング・シング・シング、シナトラ、マイルスのマイ・ファニー・ヴァレンタイン、アート・テイタムのテンダリー、コールマン・ホーキンスの身も心もなどなど、よくもこれだけ贅沢な名曲を詰め込んだものだ。アニタがいかにモダンなセンスの持ち主かがわかる。惜しむらくはあまりに欲張りすぎたのか1曲が短いところだが、致し方ない。