ものづくり経営学―製造業を超える生産思想 (光文社新書)
なんと558ページの大作(もう少し薄かったら評価:★★★★★),藤本グループ(東大21世紀COEものづくり経営研究センター)の最新研究成果がまとめれらています.全部読むのはかなり大変ですが,必要な部分を選択的に読むのが効率がよいように思います.多くの部分が過去の著書の発展版や論文の焼き直しで,バックグラウンドを抑えているとそれほど難無く読めます.税込み¥1260はかなりお買い得の1冊だと思います.
今回の著書では 『非製造業のものづくり』 なる章も設けられており,藤本理論の一般化を更に進めている印象です.ボリュームがかなりあるので,連休一杯かかってじっくり読破するのが良いかもしれません.おすすめの1冊だと思います.
ヤマトタケル ROLL.1 [VHS]
この「ヤマトタケル」は古事記を元にして作られたアニメ作品です。とはいってもそんな固いアニメではなく、ロボットアニメ的な要素もあり、それほど悪い気はしない作品でした。
ロボットアニメというと、私として気になるのはその操り方です。というのも、例えば、今の今まで一般人として生きてきた主人公が突然ロボットを動かす、というタイプのアニメは私的には気に入りません。
で、このアニメではどうかというと、合格点。この巻では全く操れません。しかし今後、このままか、それとも変化するのか、変化するならどんな過程を経るか、という期待が持てるのがいいと思います。
これを見ればきっと全巻通して見たくなること、間違いなしです!
ETV50 キャラクター大集合 とどけ!みんなの元気パワー ~輝け!こども番組元気だ!大賞~ [DVD]
2歳の娘に。様々なキャラクターが出てくるので喜んでみてました。
ちゃんとしたステージなので時間も長いです。
娘がいつも見ている番組よりストーリー性があるのですが
キャラクターがなじみのあるものなので飽きずに見ていました。
語彙も増えた気がします。
NHK スペシャルドラマ 坂の上の雲 第2部 DVD-BOX
年末恒例のNHKスペシャル・ドラマの第2部DVDボックスセットです。
このドラマを去年初めて見た時の感動は今でも鮮明に覚えています。
第1部は3人の主人公の青年期の躍動感や昂揚感を明治の時代の空気と共に
鮮やかに写し取って見せてくれました。
本作:第2部は日本が初めて直面する世界史的な大きな時代のうねりの中で
安易に翻弄される事なく、主人公たちはそれぞれの立場で迷いそして
悩み多き日々をそれでも懸命に送ります。殊に軍においての将星たちは
ベテランの俳優陣が演じ、窮地に追い込まれる日本の決断と覚悟を
時に熱く、時に冷静に披瀝します。山本権兵衛役の石坂浩二氏、
東郷元帥役の渡哲也氏・・この両氏の演技は実に見事なもので、
堂々たる中にも行間やその奥行きを感じさせて余りあるものです。
三国干渉の後、ひたひたと中国大陸を南下する強国ロシア。
帝国主義が跋扈するアジアで唯一独立を勝ち得た日本はロシアに宣戦し
この絶望的ともいえる戦に、上下を問わず全知全能を振り絞って立ち向かいます。
《一将功成りて万骨枯る》・・・戦場での勝利は夥しい英霊の尊い犠牲によって
実は得られるものです。この現実を秋山真之は作戦に活かそうと苦慮します。
もうひとつ、香川照之氏演じる正岡子規が本作で遂に幽明境を異にします。
苦しい病床で子規は生への執念を句作に昇華させるわけですが・・・・
これはもう香川氏の圧巻の演技力に拠るところ大です。第1部でもそうでしたが
正岡子規の妄執と無念と人間の業を演技として表現できるのはどうしても、
香川氏をおいて他にはありえないですね。全ての感情を中断するかのような
突然で不思議な子規の死に様。忘れることの出来ないシーンの連続でした。
ともすれば、明治の大いなる史劇に終始しがちになるところを子規の描写は
心情や人の優しさといった「ミクロ」な点景を効果的に演出しているあたり、
このドラマに上質な厚みを持たせています。
来年はいよいよ「日本海海戦」「旅順203高地の功防」と本作品中最大の
クライマックスがやって来ます。
今からすでに楽しみ・・・・です。
能力構築競争-日本の自動車産業はなぜ強いのか 中公新書
いまさら紹介するまでもなく、本書の著者は自動車産業研究で世界レベルの研究者である。本書は20年にわたる研究成果を、能力構築競争という軸で再構築したものである。能力構築競争とは、競争優位の源泉を組織能力の累積進化に求める考え方であり、いわゆるリソース・ベース・ビューと類似のものである(第2章)。著者はそれに留まらず、もの造り組織能力の中身を具体的に解明してみせる(第4章)。そして、わが国のメーカーがいかにして組織能力の累積進化を遂げてきたか(5~6章)、欧米のメーカーがいかにしてわが国との組織能力ギャップを埋めてきたか(8章)を説明する。そして最後に、組織能力競争の行方を展望する(10章)。例によって、著者の豊富な知識、工夫された図表、緻密な論理構成には!圧倒される思いである。そうして出来た本書が面白くないはずはない。と言いたいところだが、著者が提示する結論に新鮮な驚きは乏しい。組織能力という概念そのもが既に陳腐である。トヨタの強みは組織能力の累積進化能力にあるという主張は、その通りかも知れないが、今さらという気がする(197頁)。そうした思いは、10章でさらに強くなる。本書は全体で400頁近いが、読者が最も関心を持つであろう「将来どうなるか」を書いた10章は50頁に過ぎない。新書だからこそ、議論の厳密さを多少犠牲にしてでも、将来展望(10章)をメインにして書いて欲しかった。