とげまる
前作から3年弱開いているのでその間に出されたシングルが5曲もあり、その上スピッツには珍しくカップリングも一曲入っている…下手すりゃ無難なシングル・ベストに落ち着くのかなと少々不安でした。
発売前の取材でスピッツ自ら「試聴して気に入った曲だけダウンロードして音楽を買う時代なので。曲順を考えつつも、どこを抽出されてもスピッツらしい曲であるよう心がけました」と話しており、ますます「シングル集?」との思いを強めていたのですが…。
実際聞いてみて、確かにその通りです。どのアルバム曲もシングルカットされてもおかしくないかな?と思えるレベルです。
ギターが響く曲あり、ストリングスが美しい曲あり、カントリー調、歌謡ロック調と表情は様々ですが、どの曲もやっぱりスピッツサウンド。どこを切ってもスピッツです。今までよりシンプルだけど濃いスピッツです。
だが、切れないですね。一曲目の「ビギナー」から最後の「君は太陽」まで通しで聞くと、ライブに一本行ったような充実感が得られます。是非通して聞いて頂きたいです。
また、発売当初「地味かなぁ」と思っていた「若葉」が、アルバムの流れの中であれ程までに輝きだすとは!
アルバムバージョンにアレンジし直した訳ではないのに、シングル曲がいい意味で化けているのもこのアルバムの特徴です。
そしてスピッツが「ロックバンド」だと再確認してしまう、素晴らしいアルバムです。
空気人形 [DVD]
へぇー、こんな映像美がこの監督にあったっけと思いながら見ていたのだが、後で調べてむるとカメラマンにあのリー・ピンビン(ホウ・シャオシェンをささえた台湾の名カメラマン)を使っていることがわかった。「心を持った君が見た世界は美しかったかい?」とペ・ドゥナ演じるラブ・ドールが人形師(オダジョー)に聞かれるシーンがあるのだが、隅田川沿いの町並をとらえた映像は文句なしに美しい。
ライトアップされた佃島の高層マンションや永代橋をとらえた夜景シーンはいうに及ばず、古ぼけたプレハブ住宅やペ・ドゥナが拾い集めたガラクタ、そして星野真理演じる過食症の女の部屋にためこまれたゴミ袋の山さえも、この名カメラマンがカメラを回すだけで美しい日常風景に変貌するから不思議である。この日常風景が本作において隠れた主人公になっているといっても過言ではないだろう。
主演ののぞみ(ラブ・ドールの名前)を演じたペ・ドゥナの脱ぎっぷりのよさにも感銘?を受けた。やたらと格好ばかりつけて滅多に脱がない日本の若手女優陣に比べれば雲泥の差がある女優魂を、このペ・ドゥナという韓国人女優には感じるのである。特に○○願望のレンタルビデオ屋店員ARATAとペ・ドゥナの注入プレー?には、久々にフル○ッキさせられるほどのエ○スがつまっており、このシーンを撮りたくて長く企画をあたためていたという是枝監督もしてやったりだっただろう。
ラブ・ドールがなぜ心を持つようになったかに何かしらの説得力があればさらに映画としては良くなったとは思うが、正体が空気人形であることをすでに知っている板尾創二やARATA、オダジョーが大して驚きもせず、すんなりと心を持った人形を受け入れる演出には、逆に納得感がある。人間が簡単に心を捨てられる現代、人形が心を持つようになったって何も不思議なじゃない。そんな監督のメッセージが聞こえてくるからであろうか。
人間に心をもらったラブ・ドールが、まるで恩返しのように空っぽの人間たちに心を与えていくこの映画、巷間では愛弟子が撮った『ディア・ドクター』の後塵を拝したような形になってはいるが、映画の出来としては本作の方が上と見て間違いないだろう。ラブ・ドールに対する偏見さえ持たれなければ、この映画は国内外でもっと高く評価されてもいい作品だと思うのだが。
40歳の教科書 親が子どものためにできること ドラゴン桜公式副読本『16歳の教科書』番外編
親になるのに資格はいらない。あるいは、心の準備ができていないのに、親になる。いずれも、子どもが犠牲になる悲しいニュースを見聞きするたびに、思うことである。
個人的には、戦前の家父長制と(儒教的な)宗教観がないと、「親」「子ども」そして「家族」のよいイメージを持てないのではないかと思っている。
しかし、そこまで遡るのが難しいのであれば、手始めにこの本から読んでみてはどうだろうか?
1限目「英語はいつから学び始めるべきか」では、第2言語としての英語の基本は「日本語」という母語が基礎にないと身につかない、という一般的に知られている論調が語られる。これだけ、有識者の意見が一致しているのに、子どもの英会話教室に対する親の幻想はなくならないのか?それはそうだろう、小学校5,6年では「外国語活動」として、英会話の初歩的活動がスタートしているのだ。文部科学省のお墨付きをもらった親は、ますます英語教育に熱心になるのだろうか?個人的には、大西氏と鳥飼教授が説得力を持って聞こえた。
2限目は、「中高一貫校は幸せへのプラチナチケットか?」である。まず、元民間人公立中学校長の藤原氏のいう、地域との「連携」は都会での理論だし、ドスペなども日○組の影響の強い東京都の公立校という特色を割り引いたら、地方の公立校のまじめな教員達のモチベーションを下げる施策以外の何者でもないと思う。昔の公立校は、いろいろな意味で「いい加減」だった。のりしろが多かった。教育は20年〜30年先を見越した営みである。数値主義、結果評価主義では、公立校の未来はあるまい。そんな意味で、中高一貫校に余裕のある層は流れるのだ。
3限目「お金と仕事をどう教えるか」では、漫画家の西原氏の体験から紡ぎ出される主張が説得力を持つ。ビジネスで成功した正垣氏、似鳥氏もそれなりに読ませる。
4限目「挫折や失敗をした子どもにどう接するか」では、アドラー心理学者の岸見氏の「子どもを対等な存在と見ること」など、今の遊びたい盛りの若い親、仕事にかまけて子どもと接していない親に是非読ませたい内容である。
そうじて、「親学」というものがあるならば、本書はその入門編の好著である。このような啓蒙書で、様々な(自分勝手なと言う意味の)価値観をもつ親、いや価値観すらもっていない親(成り行きで親になってしまったような)による虐待がなくなるとは思えない。しかし、社会教育の分野で、このような取り組みをもっと予算をかけて進めていくべき時代に来ていると思うのは、私だけだろうか?
新選組魔戦記
ドラゴンガーディアンの新選組シリーズの完結篇です!
今回はフルアルバム形式ですので曲数多めになっています。
といっても過去のシングル作品が収録されているアルバムというわけではなく新作です。
ですので前作をお持ちでない方やドラガはよく知らないという方はご注意を。
連作になっている上、セリフで語られるストーリーものですのでこれから聴き始めるとお話がわかりません。
さて、ドラガらしく今回も小清水さん、佐藤さんら豪華声優陣によるセリフの応酬は健在です。
魂を高揚させる曲にヒケをとらないクサいセリフの数々と、美少女ばかりにも関わらず暑苦しすぎますが
中二病ロマンあふれる新選組ファンタジーの世界をたっぷり楽しませてくれます。
しかしながら今回のストーリーははっきり言っていい意味でもアツい!
新選組隊士たちの美しくも強き絆と、強敵:Fの福音との死闘が全編にわたって繰り広げられます。
新キャラの坂本天魔はロボットアニメや妹アニメで大活躍の中村悠一氏ですが、
表向きは一癖あるけど実はカッコイイ「漢」を見事に演じています。
ノリノリで楽しそうに演じてる雰囲気で声もぴったりですね。
楽曲は10曲入りですが、バラエティ豊かで面白いです。
ドラガらしい哀愁メロディが嬉しいメロスピナンバーも当然用意されていますが、
えっ、マジで!?と驚くほどポップなナンバーや、シリーズらしく和風アレンジを加えたナンバー等個性的です。
個人的なお気に入りは4曲目:粉雪二吠エル義士と、9曲目:悲しく微笑む風の旋律。
切なさ大炸裂のメロディがたまりません。
特に苦言はないんですが、あえて言えば若干泣きのギターソロが聴ける場面が少ないところかな。
まぁこれはドラガというバンドの形式では仕方ないことなので大した問題じゃないです。
ここをご覧になるような皆様ならお分かりかもしれませんが、「普通」のメロスピバンドとは全然違いますので・・・。
これで新選組シリーズは終了なんでしょうか?ドラガとしては和風ですから異色のシリーズですが。
個人的には坂本天魔が主人公で外伝をやってほしいですね。
ジャケ絵がいかにもオタクを狙った感じなので、なかなかHR・HMファンでも手を出しにくいとは思いますが、
アニメを見てるかのようなセリフの乱れ飛ぶメタルというのも楽しいものです。
自己犠牲や仲間との絆というテーマを真正面から描いているというのも、まずビジュアルありきではない姿勢で好感が持てるところ。
もちろん、肝心の楽曲もよく作りこまれていると思います。
ただ速い、クサいだけではなく、シナリオと曲がシンクロしている快感というのも味わってみてはいかがでしょうか。
青春アミーゴ (通常盤)
「青春アミーゴ」はTVの歌番組で初めて耳にしたのですが、一度聴いただけでものすごく気に入ってしまった!
曲調や歌詞ももちろん大好きですが歌ってる二人の声がすごくいいです、二人とも声に個性があって。なおかつ声の相性がいいから、聴いてて本当に気持ちがいい。
このCDには二人のソロ曲も収録されていて、しかも本人作詞ということで、そちらも聴いてみたくて購入しました。
「カラフル」はメロディー自体はそんなに凝ったものではないけれど、その分、詞がまっすぐ心の中に飛び込んでくる感じ。聴いてると前向きな気持ちになれます。
「絆」はとっても綺麗なバラード。思わず聴き入ってしまいます。
三曲ともいい曲なので「買ってよかった!」と心から思いました。
あと、個人的に驚いたのは歌詞カード。今までマキシシングルというものを手にしたことがほとんどなく、「マキシの歌詞カードって写真がちょっとしか載ってない」という思い込みが長年自分の中にあったのですが……全くそんなことはなく、いろんな表情の二人が収められてて、楽しめる歌詞カードになっています。
これほどまでに「買ってよかった!」と思えるCDは今までなかったなあ……。本当に大満足の一枚です。