a piece of PHANTASMAGORIA【劇場版】 [DVD]
静かで、朝とも夜ともつかない不思議な星の不思議な物語です。
頭が星の人や、歩くビルなど、たむらしげるさんの創造する世界は神秘的で、それでいてあたたかく懐かしいです。
色彩がこれ以上ないというくらい美しく、一場面一場面を切り取って取っておきたくなります。
自分ならこの星のどこに住みたいかな、なんて思いながら見てしまいました。子供の頃はどんな絵本も、そんな風に空想にひたりながら読んだものですが、この作品は、そういう大切なものを思い出させてくれます。
俺の知らない内田裕也は俺の知ってる宇宙の夕焼け
本作は、大正浪漫とか、船に乗って世界周遊とか、変名ニューウェーヴ・バンドとか、カヴァー・アルバムとか、タンゴ・アルバムとか、そういったコンセプト作ではない、言ってみればあがた森魚の“普通の”アルバムである。勿論あがた森魚である以上“普通の”音楽ではありえない。コンセプトという縛りを外したことで曲調は多岐にわたり、興味の趣くまま奔放に音世界を駆け回っている。
五線譜では表現できない領域へ自在に出入りするヴォーカルは唯一無二である。例えば表題曲や「キューポラ・ノワールの街」のありふれた循環コードをここまで瑞々しく輝かせるマジックはこの声あってのものであろう。敢て言ってしまえば、物凄く良いメロディというわけではない。歌詞カードを読んでも意味の良く判らない部分は多い(アルバム・タイトルだって何のことだか)。それなのに彼の歌い回しで聴くとストンと腑に落ちてくる。
まあ結局のところ、あがた森魚の作品には多かれ少なかれそういうところはあり、つまり“あがた森魚である”ということこそが最大にして共通のコンセプトなのである。ただ本作はノー・コンセプトゆえにそこのところがくっきり表われて、近作中では最も“問答無用!”といった感じで彼のヴォーカルが堪能できるアルバムに仕上がっている。わけが判らずとも聴いているとワクワクしてくる。
しかしこのひとの年齢不詳っぷりは驚異的である。「赤色エレジー」で世に出た時こそ若年寄の感があったが、それからはどんどん若返っていないか。友部正人の「長井さん」というナンバーに“♪変装好きの男の子が/大人の世界にやって来て/おじいさんのふりをしているうちに/いつのまにか年をとった”というフレーズがあるけれど、あがたさんにもそのまま贈りたい。え、'48年生まれ!?
にほんのうた 第一集
おなじみの唱歌を、さまざまな歌手がこれまでにないアレンジで歌っています。
おそらく、聞く人によって、それぞれの曲の好き嫌いが分かれると思います。
個人的に気に入ったのは、中谷美紀「ちいさい秋みつけた」、あがた森魚「森の小人」
、大貫妙子 「この道」、八代亜紀「証城寺の狸囃子」、キリンジ「埴生の宿」です。
特につぶやくように歌う中谷美紀はいいですね。
逆に受け付けなかったのが、三波春夫+コーネリアス「赤とんぼ」、ヤン富田(ドゥーピーズ)「やぎさんゆうびん」でした。
とくに、やぎさんゆうびんは、最初はよかったのですが、永遠繰り返しが長くてあまりのくどさに、嫌気がさしてしまいました。
全体的に、前奏や間奏が長く、何とか自分の色を出したいというアレンジャーの気持ちもわからないではないのですが、もう少しシンプルにまとめてもよかったかなと思う曲もありました。
すべてが気に入るというわけにはいかないでしょうが、おそらく気に入ったアレンジの曲もみつかると思います。
まずまずおすすめです。
つぐみ [DVD]
例えば、一緒にテレビドラマを見るとか、同じ月を見るとか、つぐみとまりあの何てことない描写が、何故だか、とてつもなく懐かしい気持ちを誘う作品でした。
子供から大人への過渡期で、何かを失ってしまう淋しさと、新しい何かを得る胸のときめきなど、10代のみずみずしさが描かれていてよかったです。
「深夜食堂」【ディレクターズカット版3枚組】 [DVD]
原作に友達が登場したり(2ヶ月くらい前の・・・左京と右京というアイドル追っかける話)、つい最近行きつけの居酒屋で音吉さんのLive♪があったり、何だか近しい存在と感じつつ、その前に 最高でしょう、このドラマ。
講釈じゃなく、日常に溶け込むような一品料理と、それに纏わる人の心。
魅せられました。久々にホロリとさせられました。原作も良いのでしょうが、このキャスティング、主題歌の選択、10話完結の中に通してある一本の筋。
「 生きていくこと 」の基本みたいな・・・お見事としか言いようのないドラマでした。