オーディンスフィア
北欧神話然とした退廃的な雰囲気は、好きな人には堪らないものがあると思います。
また、キャラ名について、いかにもなもの(オーディンとかロキとかジークフリードとか)をそのまんま用いるのではなく、元の名前を少し変えたりして何となく北欧神話っぽいネーミングにしたところも心憎いです。
ただ、多くの人が挙げているように、せっかくの素晴らしい雰囲気をシステムの拙さが相殺してしまっている感は否めません。
アクションの難易度は、少し歯応えがある程度なので、苦手な人でも地道にやればそれなりに立ち回れると思います。
むしろ、アイテムに所持数制限があることで常に苦しいやり繰りを強いられる点などは、ステージクリア後の評価判定と相俟って、自分流のストイックなプレイを開発する楽しみがあります。
問題は、
そのアクション自体のパターンが少な過ぎて、繰り返しプレイするうちに作業化してしまうこと。
細やかなしぐさを再現する演出が仇となってか、キャラの動きが全体的にもっさりしていること。
さらに、ただでさえ動きのよくない上に、囲まれるとすぐに処理落ちしてしまうこと。
また、アイテムウィンドウもやや見づらく、とっさの使用に際しても、いちいち探してしまうこと。
これらのことから、アクションRPGとしての爽快感やテンポの良さが失われています。
ステージ間の移動のたびに読み込むのもストレスが溜まります。
以上から、本作品は、必ずしも万人向けと呼べる仕様ではないでしょう。
それでも、あえて好意的に解釈するなら、以上のようなシステム面のテンポの悪ささえも、退廃的で暗くどんよりした北欧神話の雰囲気を、より効果的に演出しているといえるかもしれません。
不満点ばかりあげてしまいましたが、それでも名作との評価に恥じない逸品だと思います。
「オーディンスフィア」オリジナル・サウンドトラック
10/26現在、収録曲が記述されていないようなので、ここに記述します。
disc1
1.ODIN SPHERE's Theme
2.オープニングタイトル
3.屋根裏部屋書庫
4.チュートリアル
5.世界地図
6.死の国の戦闘
7.死の国の戦闘〜第二曲
8.雪山の戦闘
9.雪山の戦闘〜第二曲
10.魔王の国の戦闘
11.魔王の国の戦闘〜第二曲
12.魔女の森の戦闘
13.魔女の森の戦闘〜第二曲
14.妖精の国の戦闘
15.妖精の国の戦闘〜第二曲
16.炎の国の戦闘
17.炎の国の戦闘〜第二曲
18.争われる亡国の地
19.争われる亡国の地〜第二曲
20.迷宮都市の戦闘
21.迷宮都市の戦闘〜第二曲
22.試練
23.勝利
disc2
1.世界の果てに一人
2.ワルキューレの進軍
3.受け入れた運命
4.恐怖と勇気
5.勇者の凱旋
6.不思議なプーカの街
7.お食事処
8.悲しみに沈み
9.お勉強の時間
10.巻き返せ
11.苦戦そして希望
12.穏やかな調べ
13.暗黒の王子
14.反逆の予兆
15.穏やかに死に逝く
16.決起と侵略
17.闇に立ち向かう
18.運命の道
19.ODIN SPHERE's Theme-Shanachie ver.-
20.ODIN SPHERE's Theme-Orchestra ver.-※
21.屋根裏部屋書庫-Orchestra ver.-※
22.ODIN SPHERE's Theme-Instrumental ver.-
※-エミネンス交響楽団によるオーケストラバージョン
ゲーム内で使用された曲はすべて収録されています。
ベーシスケイプレーベルの第1弾ということで、やっと発売された本作ですが、やはり作曲に多くの人がかかわっている所為かクオリティや作風に多少ばらつきがあり、曲よって好き嫌いが分かれてしまうかもしれません。
ただ、裏を返せば、1枚のCDに5人の人間の個性がぶつかり合う、力強い作品でもあります。
個人的にもdisc1の1曲目"ODIN SPHERE's Theme"(タイトル画面放置後数分で流れるデモ:崎元仁さん作曲)とdisc2の10曲目"巻き返せ"(終焉の結晶炉コルドロン戦:金田充弘さん作曲)はとても気に入っているので、その2曲だけでも非常に満足です。
買おうか迷っている方は、好きだったあの曲を今一度思い出して、エリオンの地に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
きっとまた聞きたい曲があるはずですよ?
オーディンスフィア PlayStation2 the Best
前作「プリクラ」の大ファンだったのでプレイしました。
こちらも期待を裏切らない良作でした。
個人的な印象は「とても誠実な作品」という感じでした。
出尽くした評価だと思うので軽く触れれば、美麗なグラフィック、細かい演出はやはり素晴らしく、製作者の愛情を感じます。
ストーリーも綺麗に纏まっていて、神経を使って作られたんだなと思います。
そして、それを多くの人にプレイしてもらいたい、という思いが感じられます。
それを一番感じるのが、アクションの苦手な人もプレイできるように作られたシステムバランスです。
基本的に同じマップで、同じ敵が出るため、数をやれば敵の攻撃パターンにも慣れるし、各キャラのコマンド入力もほぼ共通していて分かりやすいです。
大量の敵もボス戦も、難しいコマンド入力などしなくてもアイテムやスキル(魔法のような物)でなんとかなり、やられてしまったら何度でもコンティニューでき、どうしてもクリアできなければレベルを上げて力をつければOK。
アクションが出来なくても大丈夫、という方向にはかなり親切設計だと思います。
そしてこの部分が、逆にアクション重視のプレイヤーが不満を覚える要因になってしまったのではないでしょうか?
私はアクションは「そこまで苦手ではないが、そこまで得意でもない」というどっちつかずのプレイヤーなので、多くの「アクションがワンパターン」等の評価は、目にするまで気づかず(笑)、でも目にしたら「…そういわわれば」と感じました。
おそらく、プレイ中はアイテム作りや食事の方にハマっていたから気づかなかったのではないかと思います。
このゲームはアイテムが非常に重要になってくるのですが、限られた所持数の中で、どう作り、どう使うか、その「アイテムを駆使する」感が好きでした。
また食材を持っていって調理してもらい、食べることでHPの上限が上がっていきます。これも個人的にとても好きなシステムで、新しいアイテムのレシピや食事メニューが追加されるのが楽しみだったため、各章をクリアし続けても「ワンパターン」「作業」と感じなかったのではないかと思います。
しかし、アイテム等を駆使するのではなく「コンボを駆使してクリアしたい」「アクションで爽快感を得たい」「さまざまな局面を技術で切り抜けたい」というアクション志向の方は、同じ敵、同じアクションでは飽きるのも無理ないことと思います。
もし今作に、各キャラごと固有のコマンド入力技なども存在し、それらも章を進むごとに増え、マップも敵も新しい物が追加され、なおかつコマンド技を使いこなせなくても(アイテムやスキルだけでもなんとか)クリアできるバランスのままなら……。
さらに名作の呼び声高い作品になっていたのではないでしょうか?
どのゲームもそうかも知れませんが、このゲームは特に、どこを重視するか、何にハマるかで評価がかなり変わってくる作品ではないかと思います。
アクションを求めると不満が残ってしまう感は否めません。
そうで無い方には、少なくとも良作だと思います。
最後に個人的な願望・プレイ中気になった点として、1番はやはり処理落ちの酷さです。でもこれはハードが変われば普通にクリアするかも知れません。
またアイテム作り・食事好きとしては、もっとレシピのアレンジがあればとか、「こんな利鞘の悪いメニューを食べ続けたら、こんなメニューに化ける」要素とか、店のメニュー全部を食べると隠しメニューが…などの遊び要素があるとさらにコンプリート魂が燃えたかなと思います。
アイテムも基本1人目のキャラをクリアすれば出尽くすので(あとはメニューやレシピを入手して「作り方」を覚える)、ゲームが進むごとに新しいアイテム、使い方の広がりが出ればなお良かったかも知れません。
あるいは、やっぱりプリクラのような自分で調理する楽しさもあると、喜びが広がったなあと思います。
ぜひ次回作があれば、引き続き期待したい作品です。
オーディンスフィア メルセデス (1/8スケールPVC塗装済み完成品)
アルターのオーディンスフィアシリーズ第二弾。前作のグウェンドリンも言う事なしの出来であったので楽しみにしていました。前作が2008年の12月、優に1年半ぶりのリリースですが、待った甲斐はありました。
片足立ちや真鍮線固定での浮遊を表現したフィギュアなら数多く見てきましたが、武器を支えに本体が完全に浮いているこのポージングは大変画期的。メルセデスというキャラクターの魅力を最大限に生かす素晴らしい発想だと思います。二つに編んだお下げの動きや独特の襞のある衣装の皴、風をはらんで自然になびく羽根の動きなど、随所に神経の行き届いた造形が風の動きすら感じさせてくれます。これだけ躍動感のあるポーズにも関わらず、どこから見ても絵になるのが流石です。
クリアパーツ製の羽根は片面にステンドグラスのような凹凸があり、光の入り方を複雑にさせていて非常に綺麗。頬や手足のふっくらした線と武器の精確な造形のメリハリも言う事なしです。彩色は原作準拠の鮮やかなもので、乱れもほぼ皆無。サイファーは透明度が大変高くまるで発光しているように見えて綺麗ですが、やや黄味がかった蛍光色で好みが分かれそうな所ではあります。
台座はイルリットの森の沼を模したような、ヴィネット風の凝ったもの。朽ちた切り株や水草、蓮の花など前作同様ものすごい力の入れよう。イングヴェイと思わしきカエルの飛び跳ねている水面は外す事ができ、その中にまで一工夫が。各部繊細な部分が多々あるためか、作業手順について説明書が付属しているのも良かったです。
長々と書きましたが、それだけの褒め出すとキリの無い素晴らしい一品でした。また瞬殺だったことも考慮してか、アルターには珍しく今年の9月に早々の再販が予定されています。今回手に入れそびれた方は、焦って高値で掴まされないよう要注意です。