Atlas of Human Anatomy and Surgery (25th Anniversary Special Edtn)
冒頭から、丹念に描き込まれた精緻な図版に目を見張る。本体だけでも4.9kgもある大著で、人体解剖図の医学書としてよりも、むしろ美術書としての鑑賞価値が高いといえよう。これだけの大著は、よほどの手間暇をかけなければとうてい成しえないものであり、19世紀の古き良き時代だからこそ刊行できたのであろう。後半のオペの手順を図解した部分も興味深い。
ただし、1冊に収めるがためか、原図をかなり縮小せざるを得なかった図版もあるようで残念。また、個々の図版には英仏独のタイトルがあるとはいえ、各部分を指す記号にはいっさい名称が省かれている。代表的な図だけでもなんとかならなかったか。
何はともあれ、これだけの豪華本が、数千〜1万円で購入できるとは、驚きの低価格であろう。