フォーク・クルセダーズ・アンド・ゼン
当時は「関西フォーク」が全盛でした。特に学生の街、京都が生んだ京都府立医大生の北山修、龍谷大学生の加藤和彦、同志社大学生のはしだのりひこという1970年代の音楽シーンを語るには、はずせないビックな3人が生み出したザ・フォーク・クルセダーズは、「フォーク」の原点とも言えるグループでした。
「帰って来たヨッパライ」という日本中の人がビックリした曲でプロデビューした彼らは、カレッジ・フォークというジャンルではなく、ナンセンス・ソングの歌い手として最初は認識されていました。「オラ~は死んじまっただ~」という人をくったようなふざけた歌詞とメロディでしたが、その特異性は過去に例がなく、見事に大ヒットしました。
その後、「悲しくてやりきれない」「イムジン河」などの名曲を作りましたが、突然解散しました。どれもメッセージ性に富んでおり、その美しいメロディラインは、当時の歌謡曲とは明らかにレベルが違っていましたね。1971年に発売された北山修、加藤和彦が作った「あの素晴らしい愛をもう一度」は、本当に多くの人に愛されました。
はしだのりひこは、フォークルの解散の翌1969年に杉田二郎も参加したシューベルツを結成し、あの「風」で再び音楽シーンに踊り出てきました。北山修作詞、はしだのりひこ作曲というコンビの生んだ永遠の名曲です。2番の歌詞を歌っていたベースの井上博は、スマートでルックスも良かったのですが、翌年不幸にも腎臓病で亡くなられました。シューベルツは1970年に解散し、翌1971年には、はしだのりひことクライマックスを結成し、またまた北山修作詞、はしだのりひこ作曲のコンビによる「花嫁」という大ヒットを飛ばしました。
♪花嫁は夜汽車に乗って 嫁いで行くの♪という出だしの歌詞は印象的で、1番の歌詞は今でもよく覚えていますし歌えます。これもエバー・グリーンの輝きを持った名曲です。
日本のフォーク・ソングが、爛熟した時代を代表する名曲の数々です。前奏を聞いただけで歌いだしが思い出せるほど耳にした曲ばかりですので、どの曲も聴いた瞬間あの時代にタイム・スリップします。我々の世代の「ナツメロ」なのでしょうね。
青春歌年鑑 60年代総集編
僕は1988年生まれの二十歳です。全く知らない曲もありますが、テレビで昔の曲を放送していて音楽のレパートリーを増やそうとCDを聴いてみました。正直好きな曲とそうでもない曲がありましたが、60年代を知らない僕の世代にはとてもオススメのアルバムです。越路吹雪さんやワイルドワンズとかが良かったです。
今語るあの時あの歌 きたやまおさむ―ザ・フォーク・クルセダーズから還暦まで (CDブックシリーズ)
「今語る」にだまされた、とは言いませんが、純然たるインタビュー本ではありません。そうかだから著者が「きたやまおさむ」ではなくて「前田祥丈」なんだ、と今頃気づきました。
きたやまおさむの語りに、かなり著者の解説というか説明が加えられています。別にそれが邪魔だとは思いませんが、やはり生の声を聞きたいと思います。
内容はかなり充実しています。きたやまおさむの虚と実というか、プレイング・マネージャーぶりを時系列を追って語られていますし、将来についてまで触れられているところが単なる回顧録に終わらせていないので良いと思います。
CDは、きたやまおさむについてはあってもなくても構わない、本当におまけという感じです。8曲収録されていますが、本書にコメントがある以外は特にこの8曲でなければならないという説明はありません。それでもどれもが代表作だと思いますし、「戦争を知らない子供たち」はジローズのバージョンではなく、万博の時のものだと思いますので、ある意味必聴ものかもしれません。