生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
生命も化学現象ではあるが、「発生から死まで動的平衡が続く」という大きな特徴があることに注意を喚起しています。著者の語り口には、文学作品を思わせるような透明さがあり、DNA研究史やご自身の研究史にもなっていて、「つながり」を感じる不思議な本です。
小生の印象に残った点は以下です。
・ウィルスは代謝をしていない。自身を寄生主に複写させることに特化した無生物。
・思い込みから逃れるのは難しい。
・「壊れる前に壊す」が、生物の秩序維持の方法。このため、生体内の物質は絶えず入れ替わっている。
・食事を摂らないと死ぬのは、エネルギー不足が主因ではなく、新しい蛋白質が合成できなくなるのが主因。
・生体は、3次元ジグゾー・パズルのようなもの。流れてきた蛋白質が、当てはまるべき場所にはまる。
・ある蛋白質が無くても、他のものが代用することで、生体として正常に動作することがある。
・人工的に一部のみ変更した蛋白質をジグゾー・パズルにはまると、生体がその異常を検知できず、生体全体が機能不全になることがある。
・発生は、後戻りできない動的平衡の変化の連続。
「老朽化で壊れ、制御不能になる前に、自分で壊すのが生物の秩序維持方法」という所にハッとしました。「発生も生存も、動的平衡に向かう化学反応のシーケンス」という本質にも。膨大な手数の裏付け実験が必要なバイオ研究の経験から、さまざまな本質を浮かび上がらせた良本だと思います。
となりのトトロ [VHS]
昭和30年代に東京の郊外で生まれ育った私にとって、この作品の光景は、余りにも懐かしく、切ない物ばかりである。古い大きな木、切り通しの赤土、雑草の緑、木造の小学校、雨の日の水溜り、停留所の脇の古びたお稲荷さん、・・・こうした風景の懐かしさ、切なさに惹かれて、この作品を何度も見てしまふのは、子供たちよりも、私の世代の大人たちの様である。−−この作品の、こうした日本の風景が、現代の日本の子供たちに、そして、世界の子供たちに愛され続けるなら、こんなに嬉しい事は無い。同時に、昔の日本の子供の我慢強さ、優しさが、この作品を通じて伝えられて行ったらと、思ふ。
(西岡昌紀・内科医/雛祭りの日に)
DIGIMON HISTORY 1999-2006 All The Best
セイバーズ以外は全部持ってるので、別に買わなくても良かったんですが、
まとめて聞けてこの値段はお買い得ですよ。
不満点はまったくなし。
となりのトトロ [DVD]
昨日の金曜ロードショーで放送されていたのを見たけれど、プロの声優たちの演技力に圧倒されました。
今まではストーリーや絵の見事さに感動してたけど「トトロ」を見て声優の演技に感動したのは今回が初めて。
特にメイ役の坂本千夏さん。姉のサツキと喧嘩して泣き叫ぶシーン。あの演技は、芸能人たちには絶対出来ないでしょう。
最近のアニメはプロじゃない人たちが起用されるので(ゲド戦記を見た後だけに)余計に感動しちゃいました。これぞプロの仕事。
それとメイが行方不明になって、サツキが一番最初にメイの行方を聞いたおじさんの声、千葉繁さんでした。昨日初めて気付きました。
脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)
書いてあることがことごとく、的を得ている良書だ。こういった仕事能率をあげる本に一致して書かれている内容は、とにかく朝早く起きること、時間の大切さを自覚すること、部屋の整理をすること、だ。言い古されたことかもしれないが、すなわちこれらのことが普遍的に重要であるということであろう。
もう一つ重要だと思ったことは、たとえばこのように本のレビューを書く、というような、情報のアウトプットをすることだ。自分はわかっているつもりでも、いざ言葉にしようとすると表現できないという経験は誰にでもあるだろう。はじめから誰かに伝えるつもりで情報を仕入れると、記憶への定着もよい、というのがこの本で納得させられた部分だ。