ほんとうにあった怖い話 第九夜 遺書 [DVD]
怖いも怖いですが痛みを伴う話が多く、別の意味でも怖いと思いました。
こおゆうオバケ話はところどころ疑問点が湧きますが、あえてスルーし単純にストーリーを怖がって楽しむのが良いと思います。
こころ (新潮文庫)
「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の3部構成です。
高校生の頃現代国語の教科書でお馴染みの作品。当時教科書で取上げられていたのは「先生と遺書」の抜粋でした。
第3部が作品の中で一番ドラマチックな部分だからでしょう。ただ、登場人物"K"の自殺や襖に飛び散った血の跡、
下宿の"お嬢さん"を"K"を出し抜く形で妻にしたことで友人の自殺という結果をもたらしてしまったという思い込み
を抱えたまま生きる屍となった"先生"・・これらは当時の私に「暗い作品」というイメージを与えました。
改めて「こころ」をきちんと読み直すことで作品に対して深い感銘を受けました。
作品の舞台も漱石の生きた時代も「明治」です。
作品の中では明治天皇が崩御し、殉死という形で乃木大将は人生に幕を降ろします。
"先生"もまた自身の命を賭して贖罪します。
そこには、明治という時代を作った人間の力とその時代に育まれた人間のこころを読み取ることができます。
登場人物は自分の信念・生き方に「真面目」であり、現代にはない力強さを持っていました。
暗いニュースが流れる昨今、私達も先人から学ぶべきことはたくさんあるようです。
人間の心は本当に弱く移ろいやすいものだと身につまされる思いがする一方、心が命ずるままに行動するのではなく
自分を律する強い心を育てなければと感じた作品でした。
朽木の灯(初回)(DVD付)
まず歌詞カードを読んだ時点でお腹いっぱいになりそうでした。
どの歌詞にもムックの世界が詰め込まれていて素敵です。
普通に聞くと歌詞を聴き取りにくいところが多々あるので最初に歌詞を読んでから聴くとよりイメージしやすいです。(音を楽しむのも全然有りですが!)
繊細だけどハード。心地よい重さに酔えます。
雑誌のインタビューでメンバーも言っていましたが『朽木の塔』でしめるのが良いですね。12曲目にふさわしい曲だと思います。
フリッツ・ラング コレクション 怪人マブゼ博士(マブゼ博士の遺書) [DVD]
この映画は、ラング監督の「M」に続く2作目のトーキーです。
独時代最後の作品となりました。
当時、独はナチ政権、この映画を独国内で上映禁止に、ラング監督はその後すぐに米国に亡命しました。
内容よりも「いわくつき」の作品として、この映画は有名です。
ヒトラーやナチの隠喩ともとれるような描写もあり、そういう文脈で理解されることが多いようです。
プリントについては極めて良好です。
30年代のモノクロ映像ですが、驚くほどクリアー。
オリジナルのネガが存在するようですが損傷が激しいため、程度の良いポジを集め、欠落部分を埋めてオリジナルに限りなく近い形にしたとのことです。
オリジナルが122分で、このプリントは121分です。
特典映像も非常に興味深かったです。
存在する独・仏・米の3バージョンを並べながら、詳細に違いを説明しています。
付録の冊子も大変充実しており、背景も含めて随分理解の助けになりました。
内容的には、残念ながら「ドクトル・マブゼ」には及ばないと思います。
刑事もののような娯楽的側面が強く感じられました。
前作のような邪悪で狂気あふれるテイストが全体的に減退している気がします。
それはマブゼが話の中心にいつつも、一貫して存在が曖昧だからではないでしょうか。
ですが、マブゼ再演のロッゲとバウム教授演じるベレギが出てくると雰囲気が一変します。
ふたりの演技が共鳴しあって、えもいわれぬ狂気が生まれているのです。
やっぱりすごいなって思います。
話も十分面白い作品ですし、ハッとしたところであの狂気が演出されているわけですから。
この作品、ラング監督の超A級作品に比べれば凄みが足りないことは否めません。
ラング監督を始めてみるなら他の超A級から、この作品を観るなら「ドクトル・マブゼ」を観てからにしたほうがいいと思います。
ラング・ファンはやっぱり必見だと思います。
吉田松陰 留魂録 (全訳注) (講談社学術文庫)
「 燃える命 」と出会いました。
吉田松陰が全身全霊をぶつけ死の前日に書き上げた留魂録が
理想的な形で蘇りました。手のひらに収まる文庫に収まったことで、
松陰先生を肌身離さず持ち運べることになりました。
人生に限りがあるとするならば、ポケットに入った留魂録の原文五千字と
ふとした時間に向き合うことが自らを昂ぶらせることになるのです。
僕はこの本を買って、毎日松陰先生の魂と向き合うことになりました。
人生に限りがあることをハッキリ意識することは、命を大切にすることです。
松陰先生が僕たちに語り掛けてきます。僕たちは答えを出さねばなりません。
いかに生きるのか? 何をなすべきか? 人生の目的は?
二十一回猛士の首が落ち、志士たちは走り始めました。
僕たちは、いつになったら命懸けになれるのでしょうか?
2030年8月4日(日)、松陰先生の生誕200年を迎えます、
この日までには結論を出したいところです。
あまり時間はありません...