プールサイド小景・静物 (新潮文庫)
第三の新人と呼ばれた世代の中心人物の短編集.大昔の国語の教科書に氏の「ザボンの花」が載っていましたね.未だに現役と記憶しています.表題作「静物」は隙のない傑作のように思えます.若くしてこのような作品を書いてしまうというのは本当にすごいことです.昔の人の思慮深さを感じます.まさしく国語の授業で勉強するようにゆっくり噛み砕きながら読みたい本です.そのせいか,集中力が必要です.ひとりで(勿論,読書はひとりでするものですが),静かに読みたい作品です.僕の思い入れかも知れませんが,昭和の時代,その時代の家族を感じる作品たちです.昔の小田急沿線の雰囲気ですかね.
夕べの雲 (講談社文芸文庫)
この本が、あの須賀敦子さんの初伊語訳作品とは後になって気がつきました。須賀さんの御本も追悼特集本も持っているのに。
読み終えて、なるほど細部が描かれていて、しかも温かい家族の愛情が伝わってくる。須賀さん好みの作品でした。今ではもう大人になった娘さん息子さん達の幼かった頃のエピソードが詰まっていて(私は最近の本から先に読んだので)「ああ、こんな子供時代を過ごすとあんな家族思いの立派な人間に育つのだなあ」と感心し、これは子育て中の友人にも勧めたい作品だと思いました。庄野さんと奥様は素晴らしい!!