インストール (河出文庫)
何もかもがバカらしく感じる。みんなと同じことをすることが虚しく思えてしまう。でも、自分は特別な存在ではなく、平凡な人間でしかないことも分かっている。
そんな心の葛藤やわずらわしさから解放されたいと思うことは誰にでもあります。
「“エロチャット”という手段を用いていて、作品に暗い影が射すのでは?」とも思いましたが、明るい雰囲気で最後まで読むことが出来ました。
しかし、“明るい”といっても微妙な心理を描いていて、奥行きを感じる作品です。
ラストが前向きなことも好感が持てます。
かわいそうだね?
作者は寡作の作家ではあるが、筆がのればおそらく推敲など殆どせずに一息に書き上げるのだろう。
表題の作品は前作同様に、意中の男の挙動に揺れる女の心理が、作者独特の軽やかでコミカルな文体によって表されている佳品となっている。
主題は、巷間に溢れている男女の痴話だが、この人にしか書けないたくみな状況描写、微細に渡る(時に妄執的な)心理描写によって一気に読まされる。
終盤の畳み掛けるような筆致と、その後に訪れる静寂のコントラストがもたらす妙なカタルシスは、彼女の新しい境地ともいえるのではないだろうか。
それにつけても、本書を読んで身につまされる思いの男は少なからずいると思われる。
ネタバレを避けるため詳細には言及しないが、一読して、いつの時代も男は煮えきらず、女は強しという感慨を抱いた。
インストール スタンダード・エディション [DVD]
原作を読んだ時点で「映像化なら上戸彩」と思ってましたが、見事にはまっていました。(特に彼女のファンというわけではないのですが)
原作の持つ、あのとらえどころの無いふわふわとした宙に浮いているかのような感覚を見事に映像化しています。
音楽もマッチング。キャスティングもOK。ただどうしても内容的にも作り的には、若い人向けの映画。いい大人が見て楽しめるような映画ではありません。原作同様同年代の人たち(著者の綿矢りささんなど)が楽しむ今風の青春ムービー(死語だね、こりゃ。笑)でしょう。
初めて神木隆之介くんを知りました。いい味出してますね。とくに漢字の読み間違いに気づいたときの演技は面白かったですね。今後要チェックの子役ですね。
インストール コレクターズ・エディション (2枚組) [DVD]
『インストール』本編が映像作品として優れているかというと、そうとは言いづらい。
しかし、本作品における特典映像の充実振りは素晴らしく、目を見張るものがある。
このコレクターズ・エディションの購入を考える層には、恐らく神木隆之介か上戸彩の
ファンが多いと思われるが、十分に期待に応えるだけの内容があることだろう。
特に、今をときめく神木隆之介の成長記録としての価値は極めて高い。
なお、本作品におけるメイキング映像は『上戸彩inインストール』とは別物である。