バスター・キートン短編集 新訳版 [DVD]
B・キートン十八番の体技と発想の妙を
堪能できる短編集であります。
特に、白人と先住民との関係を鋭くえぐった「キートンの酋長」は
体技と社会性の理想的な結婚の姿であるといえるでしょう。
バスター・キートン100th
チャールズ・チャップリン、ハロルド・ロイドと共に喜劇王と称されるバスター・キートン。彼が1920年代に、驚くべきエネルギーを注いで作った短編映画を、ほぼリアルタイムで鑑賞した児玉数夫氏が、愛情を込めて解説しています。その他、サイレント映画末期の長編傑作、トーキー時代の長編なども、詳しく紹介。バスターの素晴らしい経歴を手早く知るには、持って来いの一冊です。
バスター・キートン自伝―わが素晴らしきドタバタ喜劇の世界 (リュミエール叢書)
バスター・キートンが、ギャグや映画に関する持論を語った本としては、いちばんのものである。
たとえば、ギャグとして絶対に面白いのに受けないのに悩み、ごく当たり前のことに気づく。
「なぜ受けないのか、それはストーリーに負けてしまったからである、客がストーリーを
追っているときにそのストーリーを止めるギャグを入れても、客は絶対に笑わない」
バスター・キートン THE GREAT STONE FACE DVD-BOX 【初回生産限定】
非常にコンパクトなDVDボックスです。
届いたときは少し物足りなく感じましたが、
今はかさばらなくて良かったと思っています。
何本かキートンの作品を観て、ファンになったものの、
なかなか他の作品へのアクセスがなかったところ、
このDVDボックスが出たのでありがたかったです。
あまり画質を気にしない私にとっては、これで十分でした。
「とりあえずキートンをたくさん観たい!」という人には
うってつけのものだと思います。
厳密には「全」作品ではないのが残念です。
それでも『コニー・アイランド』において、
ロスコー・アーバックル(「デブ君」)と
共演していた頃の、なんと笑うキートン(!!)を
見ることができ、貴重な体験をしました。
現代にも通じる面白さと、当時だからこそ・キートンだからこそ
できた荒業が豊富にあります。「これドリフにあったな」という
ネタもたまにあったりして非常に興味深くもあります。
『キートン自伝』を合わせ読んで、各作品の背景や裏話を知るのも
楽しいと思います。概算ですが1作品当たり560円弱だと思えば
それほど高いわけではないと思います。おすすめします。
久石譲 meets “THE GENERAL” キートンの大列車追跡<80周年記念リマスター・ヴァージョン> [DVD]
フランスのMK2社がデジタルリマスターし04年にDVD発売した『大列車追跡』の日本版。
このバージョンで特筆すべきは、何といっても画質の驚くべき美しさです。キートン映画のフィルムはチャップリンやロイドとちがってきちんと保管されていなかったので損傷や欠落が激しいのですが、このMK2版はまるで製作当時のようなクリアな映像を堪能できます。他のバージョンではつぶれて見えづらかった役者の細かい表情や、遠景の大自然の美しさもはっきり見えます。キートンファンなら、すでに他のソフトを持っていても、MK2版は絶対にコレクションに加えて損はありません。
CDとのセットで定価が少々お高いので、ファンの中には「DVDだけで廉価発売してほしかった」という声もあります。ただでさえキートンを観るのが難しい日本ではそう思うのは当然。ただ、久石譲氏があらたにつけた音楽は非常に良いです。思ったよりクラシックな感じで、しかし久石譲タッチもしっかりある。カール・デイビスの活気あるスコアも好きですが、久石氏のどこかメランコリックな曲調の方がキートンに合っていると私は思いました。本格戦争ドラマとして誠実に(誠実すぎるくらいに)作曲してくれています。
このセットで不満があるとすれば、特典映像の少なさでしょうか。フランス版DVDにはオーソン・ウェルズによる解説など多くの特典がついているらしいのですが、日本版ではリマスター解説とデヴィッド・ロビンソンによる作品紹介のみ。せめて久石譲さんのインタビューなど入れていただきたかった。
しかしキートンの最高傑作をこれだけ美しい映像で楽しめるだけで、ファンは十分満足かもしれません。こうして新たな意匠でよみがえるたび、キートンは新しい生命を得て「今」の時代にすんなりと溶け込んでしまう。時空を超えたキートンの魅力です。