故郷~文部省唱歌集
藍川氏は「これでいいのか、にっぽんのうた」などの著書を見ればわかるが、日本歌曲を日本語の発音に無頓着に歌われている現状に問題意識を持っている。
日本語本来の発音の美しさ、正確さに人一倍野こだわりを持っている。
俗に言う文部省唱歌というものは、やはり学齢期の子どもたちを対象に書かれたものだからだろうか、やはり気楽に軽く歌われる傾向が強いように思われる。
しかし、氏はいたって真剣に真摯に文部省唱歌と向き合っている。
日本語の発音についても、しっかりと発音されているのが分かるし、楽曲を省略や変更することなしに、オリジナルの原点を尊重している。
文部省唱歌は製作段階からいろいろと著作の問題などでいろいろ問題をはらむ要素も含み、オリジナルの尊重というと一筋縄ではいかないところももちろんある。
しかし、できうる限りオリジナルの尊重をしており、これだけ文部省唱歌を大事にしている歌手も実のところいないのではないかと思う。
以前「木下恵介」作品集のCDは酷評をしたが、このCDに関して言うならば、日本歌曲の芸術性の尊重がプラスの方向へ働いているように思う。
木下作品集では、やはり作曲の過程が映画音楽や大衆音楽であり、それを考慮するならば芸術性の尊重がそのまま大衆音楽などを下位に位置づける価値付けが行われてしまう危険性をはらむし、実際にそうなってしまっていた。
俗に芸術歌曲と言われる楽曲とは違い、楽曲それ自体からそれらが作曲され歌われる文脈性を排除してしまうことによって、価値が大きく変わってしまうものであり、楽曲そのものが持つ芸術性の尊重のみでは歌いきれない要素を持つのだ。
そもそも楽曲そのものだけでなりたっている歌曲の方が少なく(厳密にいえば存在しえないかもしれない)、作曲され歌われる背景から歌詞の内容を問わなくてはならない、またその時々の歌手や聴衆の存在も、歌曲の価値を左右しえる。
しかし、文部省唱歌の場合はいわば官製歌曲であり、そういった価値付けの問題をはらむ危険性が少ない。
それゆえに、CDを聞いていても木下作品集を聞いていて感じた疑問や葛藤などを感じないで、藍川氏の問題意識が歌唱にそのまま反映されていることを素直に聞くことが出来た。
ダイナソー [DVD]
ディズニーのアニメは好きではない。何よりわざとらしい動物の人間臭さが鬱陶しい。だからこの映画もわけあって仕方なく見たのだが、予想外に楽しめた。
一つには、CGを駆使した画面の迫力。主要キャラクターは多少漫画風だが、後の景色などはリアルなものとして構成され、それが原初の自然を再生するのだからこれはいい。ある程度は前もってわかっているわけだが、ここまでとは思わなかった。特に主人公アラダーの卵が流れていくと同時に展開される大自然。なかでも川から滝へ、そこから海へというあたり。背景のもとになっているのは、南米やハワイででもあろうか。また、隕石が落ちてきての津波やらの大騒ぎもいい。
もう一つは何といってもストーリー。猿に育てられることになった恐竜が、隕石にやられてさすらうようになり、出会った別の恐竜の群れとともに命の大地なるまだちゃんとした土地を目指す、というのは大した話ではないが、そこにある命をかける真剣さが話を単純だが力強いものにしているし、単純な力強さがきびきびしたいいテンポを生んでいる。さらにいうなら既に知られている恐竜の滅びの運命も物語を引き締めているだろう。『ライオンキング』などは、アフリカの自然がいささか新鮮味を失っている上に、話が見え見えで緊迫感がないし、また恋愛描写などいかにもだらだらしていてうんざりした。こちらは話の展開が具体的には読めないのがいい。何を語るかという筋の絞り込みもよかったのだろう。
ダイナソー [DVD]
4才になる息子に買いました。買う前から恐竜が大好き!!ほとんどに名前を覚えてしまっていました。ショップで見つけて購入。
ほとんど毎日のように見ています。当初はカナタウルスが出てくるところは目を手で隠し、覗いていましたが、今はもうセリフを覚えるほどになっています。男のなら恐竜好きは通る道ではないでしょうか、そんなときにお勧めです。リアルにできているこの映像をぜひお勧め致します。
機動戦士Vガンダム 13 [VHS]
人気シリーズ機動戦士ガンダムの一作品でありながら、マイナーな地位に留まっているのが残念な作品。
最終巻は二人のヒロイン、シャクティとカテジナの性格や立場の違いが特に印象的だった。
(その意味ではガンダムシリーズ中、女性が活躍する作品の一つではないだろうか?)
しかし、残酷なシーンや性的なシーンも多く、子供に見せると心に傷を負いかねない。
個人的には、子供だから大人と比べて特別に心が美しいわけでなかったり、戦争や、現実の残酷さをごまかさない部分に好感を持った。
(女性だから戦いを好まない、といった中身ではないし。)