ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で
*ヘンリー・J・ダーガー ダーガーのココがすごい!*
1「1万5千145ページという世界最長編級の物語を誰にも知られずに書き続けた」
ひとつの話でココまで長いともはやいやがらせ!?しかし読者を想定していない作品に対して苦情は無用。指輪物語も真っ青戦争模様!!1450万人の兵が押し寄せるってどうよ!?
2「度を越した子ども虐殺描写」
保育士のワタクシが、「ダーガーが好き」といおうものなら、PTAの要注意人物になること間違いなし。大人が子ども奴隷を虐殺しまくる話の絵が延々と続きます。子どもを虐殺する悪いグランデリニア軍を子ども奴隷解放を訴えるキリスト教徒が倒す?という勧善懲悪的な話のはずだが…。
3「表情と繰り返しの面白さ」
雑誌のトレースだから、大概はにこにこしているんだけど、驚いた顔とか苦痛の顔はなぞる原画がないもんだからダーガーオリジナルの顔になっているんだけど、それが時々突拍子のない劇的な変顔になっていて笑えます。同一の少女が10人ほど並んでいる不気味さは満点!写真やイラストをなぞってコラージュみたいに絵を作り上げるというテクニックも天才的だし、色使いも妙にかわいくって変な感じ。
そして、ダーガーのドキュメンタリー映画が公開されるんです!
あの絵が動きます!しかもナレーションはロリコン界のカリスマ、ダゴタ・ファニング!これはやりすぎだ!
庭先案内 6巻 (BEAM COMIX)
庭先案内第6巻です。月刊雑誌ゆえか刊行ペースが遅く、また連載雑誌を購読していないため、早く読みたくてやきもきしながら発売を待っていました。(最近は買う漫画も減ってしまいましたが、数少ない継続して買っている漫画の一つです)
短編連作ながら、ところどころにストーリー性のあるシリーズも継続しています。(幻燈機、関西姉妹など)メルヘンやファンタジーという形容詞が似合う作品とよく評価されていますが、それに上乗せして、作者自身の独特な呼吸というか作風が色濃く反映されており、個性的な絵と相まって独自の地位を確保している名作だと思います。
…しかし帯の「フィナーレ」という文字を見て本当にガックリしてしまいました。短編連作がゆえこれからもどんどん続いていくと思ったのに…。須藤真澄さんの次回作に期待しよう…
っと思っていましたが、作者様のHPを見ると、「庭先案内」の内容を踏襲した新作の連載が再開されるとのこと!!!これは本当に嬉しい限りです。たぶん刊行ペースは今まで通りだと思いますが、ゆっくり待とうと思います。
これから読もうと考えている方へ 短編連作なので当巻から入ることもできるかと思いますが(事実上最終巻ですが)、上述の通りストーリー展開があるものもあるのでやはり1巻から読んだ方がいいと思います。短編の間にストーリー性を持たせるというのも、この漫画の重要な手法の一つであると思います。
自信を持ってオススメできる作品です。
泡と兎と首飾り―猫十字社傑作集 (BBMF BOOKS)
お茶がお酒になりました。かつて作者の作品を桃源郷としていた私には、作者の軌跡をたどると共に変わらぬ世界観(そして成長)を愉しむことができ、とても嬉しい単行本でした。この作者は作品によって作風が変わります。絵も世界観も異なりますが、どの作品にも猫十字社ならではの味があります。この本も作者の多面性を編集していました。「もんもん組」のギャグや毒はありませんが、リアル作者(?)の毒やハートは健在。少女漫画界の大御所でないけど異彩を放ち存在感ある作品を描く人だとあらためて思いました。