ベスト足跡
「やぶさかでない」(1986.05.28)はR&B。歌詞はDTBWB〜横浜銀蠅のノリ。ブギってことで歌詞には笠置シズ子も登場。
「人情岬」(1986.10.21)は細川たかし。ライナーノーツには秋元自身が「賞レースを狙った」と書いているが、リリースが10月なので、まだ本気(マジ)じゃない。
「嵐のマッチョマン」(1987.02.25)はディスコ歌謡。歌詞のイメージはヴィレッジ・ピープルか。翌年の同時期にはユーロディスコ(ジンギスカン、アラベスク)ともラテン歌謡とも取れる「炎のエスカルゴ」(1988.02.25)をリリースしており、ここら辺のシングル・ローテは歌謡曲のパロディだろう。
「迷惑でしょうが・・・・」(1987.04.05)は倉本聡ドラマのショーケン、「YAZAWA」(1988.07.06)はもちろん矢沢永吉、♪卒業することで終わった大人たちを非難すること 社会とは窓ガラス割らないルール と歌う「一番偉い人へ」(1992.09.03)は尾崎豊である。いずれも完成度は高く、パロディの根底に対象への愛があることが解る。茶化しながらもオマージュになっているのだ。(まあ尾崎が死んだ半年後にリリースした「一番偉い人へ」は便乗商法以上のものは無いのかもしれないが)。
そして、長渕剛を意識した「情けねぇ」(1991.05.29)で、とんねるずはついに、ギャグでしかなかった紅白出場、賞レース制覇(歌謡大賞)を果たす。
♪遠い国のふしあわせ 対岸の火事なのか と歌うこの曲は、湾岸戦争に引っ掛けたメッセージソングだ。歌は世に連れ、つまり“世相を反映する歌こそ歌謡曲”っていう、本質的な部分までパロディ化してしまったのが「情けねぇ」であり、そんな精巧な歌謡曲のイミテーションが歌謡大賞を得てしまったことで、歌謡曲に終止符が打たれるのである(実際、翌々年に歌謡大賞は幕を閉じる)。
ソプラニスタ・ザ・ベスト
男性でありながら、ソプラノの声域ですから際物のイメージがありますが、本当に素晴らしい歌を披露してくれました。音程がしっかりしていて丁寧な歌い方ですし、魅力的な声でした。不思議な香りも感じます。
フジテレビ系連続ドラマの「牡丹と薔薇」の主題歌「涙のアリア」を聴いてファンになった方もおられるでしょう。ヘンデルの「私を泣かせてください」に松本隆の作詞を載せた 「涙のアリア」は、とても情感のたっぷりとした歌い方でよかったです。
劇的なオペラのアリアを聴くと、そのダイナミックな表現力に圧倒されます。特にテノールの「誰も寝てはならぬ」のような華やかなアリアはいいですね。ドラマチックでメリハリがあって聴きやすかったです。このような力強い表現力を求められる曲は相性が良いようでした。
カッチーニの「アヴェ・マリア」も表現力のある魅力的な歌唱で聞き惚れました。敬虔な雰囲気が漂っています。少し哀愁を帯びており、メゾ・ソプラノの声質のように思いましたが、高音域の艶やかさはまさしくソプラノそのものです。
卒業式ソングの第1位「旅立ちの日に」を慈しむように厳粛に歌い上げてくれました。その豊かな体格をいかした声量はどこまでも広がっていくイメージがあります。合唱ヴァージョンですので、卒業式を思い出させるようなとても感動的な演奏でした。
「ヒーリング・ミュージック」のジャンルにもつながる癒しの声を持っているようです。