磔のロシア――スターリンと芸術家たち (岩波現代文庫)
名著の誉れ高い「磔のロシア」を再読した。よい意味でのスキャンダリズムに貫かれた本である。しかしここまで来れば、スキャンダリズムから限りない知性の香りが漂ってくるのを感じる。相当な覚悟での執筆だったと思われる。圧巻はマンデリシタームの章だろうか。著者はあくまでもスターリン主義者となった晩年の彼の狂気に焦点をあて、絶対にそのフォーカスを緩めようとしない。そこがみごとだと思った。エイゼンシテインの章に論旨の上で辿りにくい若干の難点があるが、しかしそれにしても驚くべき深みをもった書物である。
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
のだめinヨーロッパ編で千秋の指揮したチャイコ。
その世界レヴェルの名演の一つが、この五嶋みどりとアバド、ベルリンフィルだと思う。
五嶋みどりの演奏は、世界最高クラスのサイボーグ的な技量の上に、当然ながら解釈を加えて成り立つもの。
ただ聴いて、うなずく。美しい演奏。
軽く、重く、強く、優しく。チャイコフスキー自由自在。
グレン・グールド/ロシアの旅 [DVD]
予想してた通りグールドの映像や演奏が少なかったです。
しかし、実は期待していなかっただけに、内容は予想を超えてなかなか良いものでした。
かなり興味深い内容が多く、リヒテルとも会っていた話やグールド自身が指揮をしている映像がほんのちょっとだけでしたがあって、楽しく見る事が出来ました。
そして、どうやらこの作品は、2003年第21回モントリオール国際芸術映画祭でグランプリを受賞しているようです。
それにしても若い頃のグールドは、見た目にもかなりかっこいいですね。