東京マラソンを走りたい ギャグ漫画家 50歳のフルマラソン (小学館101新書)
小学館の運営するWEBサイト「BOOK PEOPLE」で連載されていた「人生で一番うまいバナナを食べてみないか」をまとめた本。
本書のことを知ったときには驚いた。あのキクニが、こともあろうに「東京マラソンを走りたい」なんて言う。読んでみてもっと驚いたのは、意外と真面目な本だったことである。
内容的には、走り始めたイキサツから、フルマラソン初挑戦に初完走、そして自己ベスト達成まで。その合間に「コラム」と称して、練習のモチベーション維持の工夫、ランニンググッズお役立ち情報、等々が散りばめられている。本人も「はじめに」に書いている通り、理想的なフォームや練習方法、ストレッチのやり方なんかはどこにも書いていない。
最初から最後まで笑い満載の本書の何が「意外と真面目」かと言えば、まず第1に、ランニングに関して彼の書いていることには基本的に嘘がないこと。何かを試してみて失敗したときには、何がいけなかったのかを分析し、ちゃんと次に活かしている。
第2に、彼のモチベーション維持法は実際に効果があるだろうこと。彼はもともとかなりゆっくり走っていて、走り始めた当初から長距離を走ることがそれほど苦痛ではなかったようだ。彼にとって障害になるのはむしろ「退屈」、飽きてしまうことなんですね。そこで、飽きずに「つい」走ってしまうような数々の工夫が記されているのだが…、これが参考になる。
そして最後に、「仲間の存在」。走るキッカケであり現在も存続している「チーム焼肉」の面々には決して速いランナーはいないのだけど、彼らは競い合って愉しく走っている。やっぱり共に喜びを分かち合える仲間がいるということは素晴らしいことなんだな、と認識を新たにすることウケアイ。
ちなみに、4年連続で東京マラソンの抽選に落選し続けていた彼だが…、5年目にしてついに走れることになったようだ。走れ! メタル野郎! 健闘を祈る!
しばちゃん。
一気に読んでしましました。
気が強い黒柴ちゃんと、おっとり甘えっ子の茶柴ちゃんの日常。
読んでいて知らず知らずのうちに、笑みがこぼれてしまいました。
読んだ後も心がほっこりして、なんともいえず癒されました。
私は1頭としか一緒に暮らしていなかったけど、2頭飼いも
いいな〜って、思ってしまいました。
ワンちゃん好きには、たまらない1冊だと思います。
月光の囁き ディレクターズカット版 [DVD]
まず、はじめに目指されるのは、「普通の17歳の恋」だ。そこでは視線の高さは正しく同じであり、愛は対等に交換される。同じ事で泣いたり笑ったりする。
だが、この目標は早々に挫折する。なぜなら、そうした対称的な愛とはつねに、何かを隠蔽して建設されるものであり、したがって退屈なものであるからだ。今回、隠蔽されていたのは少年のインモラルな性癖であり、その露見と同時に、対称的な愛(あるいはその偽装)は終わる。
代わって舞台にあがるのは、「主人と犬」という、驚くべき非対称的な関係である。ここで、視線の水平軸は回復不能なほど決定的にずれ、以後、少女はつねに少年を見下ろし、少年はつねに少女を見上げることになる。少女も少年も、このサド-マゾ的非対称性からそれぞれ快楽を引き出すが、事態は必然的に破滅へと傾斜してしまう。つまり、どちらかの死という破滅だ。
さいわいにも、今回は破滅は回避される。かくして破滅の危機を通過した二人が到達するのは、まさに新たな対称性の境地だ。彼らは映画の結末において、それぞれ左右逆の目に眼帯を装着した、正しい鏡像対称となるのだ。それは、美しく醜い次なる愛の境地である。
おそらく愛とは、関係の苛酷な非対称性のさなかに、ありえない対称性が懐胎する、その瞬間にこそ宣言されるべきものであるに違いない。さらには運命とやらもまた、同じ瞬間に宣言されるべきものであるのかもしれない。
だから、映画のエンドロールに流れるのがスピッツ『運命の人』であるということは、真剣に受けとめられなければならないだろう。
そしてラストシーン、少女と少年の視線は、同じ高さにある。