南米日系人と多文化共生
本書は、日本で情報の少ない南米に点在する日系人社会と日本人移住地の現在の様子や諸問題を取り上げていて、南米日系人を理解する格好の書といえる。
南米への移住が始まって100年以上が経過し、これまで多くの日本人が移住し、その子孫を含めて大きな日系人社会を形成している。1990年には、日本の入国管理法が改正されて日系人の入国と就労が容易となり、多くの南米日系人が出稼ぎで来日するようになり、特に、ブラジル系人が著しく、日本の地域社会で南米日系人の共生が問題になっている。また、共に暮らす住み良い街づくり「多文化共生」が課題になっていて、日本と南米の両社会を見ながらの共生についての提言が書かれていて、共生問題の解決方策を考える上で参考になる。
本書では、南米に点在する日本人移住地や日系人社会を取材し、現地の生活の様子を写真で具体的に紹介しているので、楽しく読め、理解し易い。また、現地における現代の諸問題を取り上げていて南米日系人社会の今後を考える上で役立つ書といえる。
ウィスキー [DVD]
ラストの切り方で、星1つ分ぐらい得している。この弱冠30台の若手コンビは、これから一体どうなんるんだろうと観客が姿勢を正したところで、映画を突如エンドロールに切り替えてしまう。一瞬狐につままれたような錯覚を覚えた後に、余韻の波がジワーと寄せてくる作品だ。
カウリスマキ作品との共通項を指摘する評論家もいるようだが、本作品における登場人物の表情は、<嫉妬>や<片想い>を隠すため意図的に作られた無表情であり、カウリスマキのそれとは少し意味合が異なるような気がする。無表情を逆手にとった喜劇的要素は、むしろカウリスマキ作品においてより強く、予告編を見てコメディと思ってこの作品を見ると「あれーちょっと違うなぁ」という印象を受けるかもしれない。
ウルグアイの寂れた靴下工場を経営するハコボとそこで実務を仕切る古株のマルタ。ブラジルで成功をおさめた弟との再開に際して、ハコボはマルタに偽装妻役を頼むのだが・・・。タイトルの「ウィスキー」は、写真を撮る時の笑顔を作る掛声である。靴下ブラザースとの偽装旅行は、機械仕掛人形のような生活を送っていたマルタにどのような心境の変化をもたらしたのだろうか?ハコボならずとも気にかかる本作品最大のミステリーだ。
NATIONAL ANTHEM OF THE WORLD 2002
W杯で、試合をより引き立たせてくれるのが試合前の選手入場シーンと国歌演奏。
このアルバムには今回のW杯に出場する32ヶ国全ての国歌と、おなじみの入場シーンの曲、FIFA ANTHEMが収められている。ただ、今回のW杯の選手入場の曲はこのアルバムには入っていないヴァンゲリスの2002年公式アンセムが使われるようだ。
また、FIFA ANTHEMのメロディをただ演奏しているだけなので、スタジアムで流されるものとは少し異なる。
肝心の国歌の方はどうかというと、やはり国歌に採用されるくらいだから、どれも名曲ぞろい。
6月のW杯までに口ずさめるようになっていると、試合前の国歌演奏が楽しくなりそう。
これだけの量が詰まっていてこの値段だったら、買ってもまず損はしないと思います。
SHOT/ショット [DVD]
この映画、いろんなサイトを覗いてもあまり評判がかんばしくないのが実に残念です。でもこの映画にガッカリしている人って、あくまでP.O.V.(ポイント・オブ・ビュー/主観映像)映画ということにこだわってらっしゃるのですよね。これ予告編でもパッケージにもP.O.V.と確かにうたっているのが良くないと思うのですが、この映画はP.O.V.ものではなく、あくまでワンシーンワンカットという技法を用いたホラー映画です。だから効果音や音楽が鳴っているのに白けるとか、主観映像の人称が変わって不自然だとかいう批判は当たってないと思います。主人公をずっとカメラが追いかけ、ぐるぐる舐めるように撮って、車に乗り込むと車の座席にまで入り、そしてとうとう屋敷の中に入るというカメラワークには、私もまぁふ〜ん頑張ってるね〜程度で思っていたのですが、暗い屋敷の中で鏡を小道具に使ったり、影の映りこみの危惧にもかかわらずの手持ちの灯りで部屋を散策といったスリリングな展開におおっ!と盛り上がりました。全編ワンカットではなく、暗転するところがあるので本編でも1回か2回カメラ止めてるところもあるようですけど十分引き込まれます。ラストのオチはメジャーな映画でそれあったねというものですが、それでもエピローグのそれもワンカットをいかしたおおっ!という構成で実に効果的でした。でもまぁワンカットにする意味ってあるの?ってものですが、一緒に見ていた私の妻がもうギャーギャー言って文字通り飛び上がって怖がっていて、そんなに怖かった?って聞くと“何かしらないけど、緊張感が途切れないので息苦しくなった。こんなに追い詰められた気分になった映画は始めて”って言ってました。当然ワンカット映画って事には全く気づいてなかったです。ワンシーンワンカッット効果あるじゃん!
生きてこそ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
1972年に実際に起った「アンデスの奇跡」を関係者にインタビューした英国人ジャーナリスト P.P.READの"ALIVE"を映画化したものです。極寒のアンデス山脈で飛行機事故で遭難し、サバイバルした16名の行動と心理面に迫っています。
生き延びるため遭難で亡くなった人の人肉を食べて有名になった事件ですが、原作・映画共にそれを超越して、深い人間性にあふれた作品になっています。
映像特典として生存者の最近のインタビューや彼らの暮らしぶりを紹介したドキュメンタリーがついています。