Night at Birdland 2
イントロダクションに続いて、一曲目から飛ばすブレイキーさんのドラムからです。ツーホーンテーマが飛び出した瞬間といったら、もう堪りません。熱いですねぇ!2曲目ではvol.1でのブラウニーさんのワンホーンに対抗(?)してルー・ドナルドソンさんのワンホーンです。演奏時間は3分29秒と短いですが、なんとも、心をくすぐる演奏です。4,5とパーカーナンバーで締めです!
A Night at Birdland, Vol.1
Art Blakey 『A Night At Birdland Vol.1』
1. Announcement by Pee Wee Marquette
2. Split Kick
3. Once in a While
4. Quicksilver
5. Night in Tunisia
6. Mayreh
7. Wee-Dot [Alternate Take]
8. Blues (Improvisation)
Clifford Brown - trumpet
Lou Donaldson - alto sax
Horace Silver - piano
Curly Russel - bass
Art Blakey - drums
BN:1521
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このアルバムの録音は1954年2月21日で
オリジナルのレコードは、
ブルーノート(以下BN)の
10インチ盤では5037,5038,5039番の3枚でリリースされ
12インチ盤では1521,1522番の2枚でリリースされています。
写真のアルバムは
12インチ盤の1521番をCD化したアルバムに
2曲のボーナストラックを付け加えたものです。(7,8曲目)
一応ここでのリーダーはブレイキーですが音楽的なリーダーシップを取っていたのはシルヴァーの方でした。この後55年にはシルヴァーはブレイキーのジャズ・メッセンジャーに参加しますが、袂を分かつこととなります。
(これについては一般的に、宗教上の違いで熱心なイスラム教徒だったブレイキーが他のメンバーと孤立したため、とされています。)
しかし、やはりシルヴァーが一番良い演奏をしていたのは
ブレイキーと一緒のときだったと僕は思います。
もちろん、この名盤の凄さはそれだけではありません。
後にBNのファンキー・ジャズ路線を進めていくアルト・サックスのルー・ドナルドソンに、
たった4年ほどの活動しか残されていない若き天才トランペッターのクリフォード・ブラウン(以下ブラウニー)の2管編成による絶妙なユニゾン・プレイが最高です。
それにベースのカーリー・ラッセルは40年代にはチャーリー・パーカーやバド・パウエルらと共演していた名モダン・ジャズ・ベーシストです。
#1のピー・ウィー・マーケットのMCから歴史に残るジャズの大名盤の幕開けです。
#2のイントロでいきなりドナルドソンとブラウニーの息の合ったユニゾン・プレイが聴き所です。ブレイキーの「パカポコパカポココン!!」
っていう独特のドラミングがかっこいい。一発でブレイキーだってわかる。
その特徴的なドラムに魅了されることでしょう。
このアルバムで音楽的に一番凄かったのは
ブラウニーだと思います。#3のバラード演奏を聴いてみてください。
美しく響くシルヴァーのピアノのイントロから
ブラウニーがトランペットを吹く瞬間!!
何度聴いても感動しますね♪
これほどまでにクリアーでメロディアスなトランペットを吹けるのは、
ブラウニーをおいて他にはいないでしょう!
この曲ではドナルドソンは参加しておらず
終始ブラウニーの輝くようなトランペット・ソロを聴くことが出来ます。
途中、ブレイキーが思わず
"blow your horn!"(もっと吹くんだ!!)
とはっぱをかけます。
そして曲が終わるとオーディエンスの大喝采とともに
ブレイキーが唸っているのが聞こえます。
一緒に演奏しているブレイキーをも虜にしてしまう
ブラウニーのトランペットは神懸り的です。
その後も名演は続きます♪
ガレスピーの名曲#5で聴けるブレイキーのナイアガラ・ロール!!凄まじい!!
それにボーナストラックの#8での即興によるブルース演奏も最高です。
最初の2分間に及ぶドナルドソンのソロが
ブルージーで良いです♪
その後、2分57秒のところでブラウニーにソロが代わります。
ブラウニーのメロディアスなソロがここでも存分に味わえます♪
このアルバムを聴いていてもうひとつ思うのが
それまでのビ・バップと
この後誕生する(というかこの日を境に)ハード・バップとの違いです。
無頼派のビ・バップとは違って
ここでのメンバーは、個々のソロのときにしっかりとバッキングを演奏し、グループ全員で曲を盛り上げていきます!
ビ・バップは一種のジャズによる即興の芸術だと思いますが、
ハード・バップでは、より分かりやすい演奏に合わせて
即興で演奏することの楽しさが存在しています!
こういった楽器全体のグルーヴ感を基調とすることから
その後、BNにファンキー・ジャズ・ブームが到来する一因となった
ってことは間違いないでしょうね。
ジャズを語る上で絶対に外せないような
歴史的名盤だと思います♪
Moanin
これほど一世を風靡したジャズ・アルバムがあっただろうか。昭和の真っ只中で突如ブームになったモダン・ジャズは黒人特有のソウルフルなスピリッツをふんだんに盛り込んだファンキーという爛熟期を迎えた。まさに元禄時代を思わせる大衆文化にモダン・ジャズが受け入れられたモメントでもあったのだ。何よりもボビー・ティモンズのMoanin'という名曲が大ヒットしたことがその一番の要因としてあげられるが、御大のアート・ブレーキーをはじめ、リー・モーガン、ベニー・ゴルソン、ティモンス、ジミー・メリットといったパーソネルの充実を見落としてはならない。特に新進トランペッター、リー・モーガンは当時怖いもの知らずの二十歳の若者で、スリリングなフレーズとブリリアントな音色でグループを華麗に際立たせた。演奏者としては過小評価気味のゴルソンだが、コルトレーンのシーツ・オブ・サウンズを思わせる密度の高いアドリブを展開している。また、ゴルソンの作編曲の才能は、Are You Real?などの名曲を生み出すとともに、グループに特有のサウンドをもたらすアレンジの手腕を発揮している。そのことは、このグループがバランスの取れた高い音楽性に支えられていたことを示すわけだが、同様にブレーキーのドラミングも単なる野性味だけでなく繊細で計算しつくされたセンシティブなものであったことを見逃してはならない。ジャズメッセンジャーズはこの録音の後、パリで大成功し、その余勢をかって日本で爆発的なヒット、さらに初来日をも果たし、本格的なファンキーブームの到来となった。50年代モダン・ジャズの一つの頂点を形成した至宝的名盤である。
アート・ブレイキーに競馬が好きかと訊ねたら
タイトルだけでがつんとやられる。
ジャズ好き必読。
JJのような、あるものを語りながら、いきなりその題材に自分の服をおっかぶせてむちゃくちゃにひっぱりまわして、いつのまにかなんの話してるんだか全然わかんなくなっちゃって、それでいて妙に納得してまうような、渋い男の散文調とでも言うべきエッセイの好きな人のツボにはまると思われる。