乙女の儚夢
とにかく独特のムードを纏った作品である。
はっぴいえんどやムーンライダーズにも通じる日本の情緒や懐古的な風情を楽しむといった要素は感じられるのだが、もっとずっとひっそりとしている感じがして、デビュー作にして既に老成しきっている感じが薄ら怖ろしい。
その後のあがたは、もっといろいろな音楽(弾けすぎて逆に空怖ろしかったりもするものもある)をやっているのを見ると、これが特に彼の音楽原点だったわけでもなかったのだろうが、言えることはこの時期は大正ロマンの幽玄な世界観に痺れていたのだろう。
それにしても、このアルバムの編集力は、この当時としては斬新だっただろうなと関心させられる。歌と歌の間に挟まれる手紙を読み上げる女学生の語りや祭での大道芸人の口上など多彩なSEが、このアルバムのタイムスリップ感覚を格段と引き上げていると思う。
また「乙女の儚夢」と「赤色エレジー」のメロディが同じであるというのも、なかなか巧妙なテクニックだ。この今でも懐かしのメロディなどで採り上げられる稀代の名曲を、実に効果的に配置している。(ちなみに懐かしのメロディであがた本人が出演していたとき、他の出演者がかつてに比べ衰えを隠せないのに対し、明らかに彼だけが現役感バリバリで、全く古びれていないことに驚かされた)
連句アニメーション 冬の日 [DVD]
~俳句(連句)に全く無知な私でしたが 簡単に説明すると俳句のしりとり遊びのような文学であることが わかりました。前の人の下の句を次の人がつないでいくという日本特有の文化であることが 理解できました。以上のことは 第2部で各アーティストたちのミニメイキングとともに より詳しく解説されています。
~~
本編のアニメーションは それはもう驚きの連続でした。今までこういうアニメに 出会ったことがなかったためです。
表現方法の多彩さ 水彩画 3DCG 切り絵風 墨絵 粘土細工など すっかりこのアニメ世界に 入り込んでしまいました。
ジブリ ジャパニメーションだけが アニメでないことを知らされ 日本のアニメの奥深さに改めてびっくりしました。
~~
テーマが俳句になっているので 敬遠される人も おられるでしょうが 独自の世界に 魅せられること必至です。~
乙女の儚夢
小生はLP新発売当時に、初版盤特殊ジャケットを購入し、凄く手のかかった豪華ジャケットに感動し、LPの音楽自体にも感動し、以来、いろいろ彼のLP、CDを買ってきました。再現ジャケットとのことで早速購入しようと思ってます。
淋しかったからくちづけしたの―林静一傑作画集 少女編
繊細で儚げ、その一方でとても力強く大胆。
そんな魅力あふれる少女達を描く、林静一さんの40年の傑作選です。
単行本小説のような小さい画集ですが、林さんのシンプルで洗練された画面構成の全体図をよく見ることができる、ちょうどいいサイズです。また、94点もの作品が収められていて、ボリューム満点です。
内容は、表紙のような「小梅ちゃん」と同系統の絵が多く、横顔の少女が中心です。
他には87年のアニメ映画「源氏物語」(キャラクター原案担当)や、ジグソーパズル「立ち姿三姉妹」の絵といった、かなり大人っぽい作品もあります。
けれど、どの作品にも、「和」のテイストと「昔の香り」があると思います。たとえ洋服を着ている少女でも、とても「日本」を感じ、そこが林さんの絵の最大の魅力じゃないかと思います。
感想は、とにかく素敵!のひと言です。
美しさと愛らしさの両方をかねそなえ、大人でも子供でもない危うさを秘めた少女達。透明で清純、なのに艶っぽく、とても惹かれるものがあります。
少女達が魅力的に見えるのは、その仕草のせいでもあります。貝殻を耳にあてる、紙風船をふくらます、笹船をつくる――手の表情がかわいい。そして着物の柄、帯の形、髪飾りひとつ取っても、おしゃれで粋。
そして色彩、構図の画面構成がとても上手い。林さんの絵がシンプルなのに全く飽きさせないのは、ここにあると思います。目の覚めるような青や黄。かと思えば、空気にとけてしまいそうな淡色。持っている色彩の幅が広く、色の取り合わせが上手い。人物の配置がよく、余白の空間が生きている。味のある背景、そして高い画力。
林さんの絵は、百年たってもすごくおしゃれだと思います。
ページをめくっていると、扉の隙間からこっそり少女達をのぞいているような気分になります。どきどきして、せつない。それは少女達自身の気持ちかもしれません。
そんな林静一さんの世界を、ぜひ見てください。