聖ジェームス・クラブへようこそ
マルチインストルメンツ奏者でもあり、コンポーズ/アレンジにも長けるR.フリーマン率いるリッピントンズの4作目('90年作)。
西海岸的なカラリとした爽やかさと柔らかさ、それでいて少しロックテイストやサンバ、カリビアンなテイストも織り交ぜた音作りはステレオタイプといってもいいでしょう。
人によっては、この辺りの"整いすぎた"サウンド(?)を毛嫌いするかも知れませんが、そこはR.フリーマン。機械的な音には最も向かない(と思う)リード系については、J.カシワ、K.ウェイラム、B.フィールズといった面々をうまく使い分け、決して凡庸な音楽にならない工夫は万全です。
#個人的には[6]でのK.ウェイラムのブローが好きです。
その他、[9]ではJ.サンプル(p)が、[6][7][9]ではV.カリウタ(ds)等が参加。ボーカルでは、前作"Tourist in Paradise"でも参加していたC.アンダーソンのほか、本作ではP.オースティンも参加し、作品に花を添えています。
#欲を言えば、S.ベイリー(b)のフレットレスベースが
#もう少し聴きたいのですがねぇ。
Cote D'azur
テキサス出身のギタリスト、マルチ・プレヤー、作曲家、ラス・フリーマン率いる
リッピントンズ名義では、スタジオ・オリジナル・アルバムとして16作目です。
ソロ・デビュー作、ノクターナル・プレイグラウンド以降音楽のスタイルを変えることなく
今年でまる25年、彼の音楽的アイデンティティが理解できない愚リスナーはマンネリ或いは
プレイが昔に比べて・・・等と酷評する。
ひけらかしたくなるインプロビゼーションをそぎ落とし、アメリカン・スムースの命とも言える
エア・プレイを強く意識した、B.G.M.的 ながら音楽に徹したその高度な音楽性には新譜が
出るたび感服する。
彼等のアルバムにおいて評価軸として適切に機能するのはメロディのクオリティではないだろうか。
・・・で今作、メロディのクオリティは近年稀にみる出来。南仏の海岸エリア、コート・ダジュールを
アルバムの冠にしているのだけれど、スパニッシュ、中東、を思わせるフレーバーもしっかり
押えた感じで南フランスを中心とした地中海文化をまとめた、ラテン音楽といった感じでなかなか良い。
もちろん全曲ラスのオリジナル、オープナーとクローザーのみ奥様のヤレド・レオンとの共作。
全10曲 約40分 と彼等の全ディスコ・グラフィーの中で最も短い作品。
Weekend in Monaco
ラスフリーマンというギタリストは個人的には非常に高く評価している人物。なぜかと言えば、アンサンブルがきれいで、アレンジも磨き抜かれているからだ。これはアレンジにかなり時間をかけているのだろうね。そうそう音楽は時間をたっぷり十分かけないといいものができないんだよ。ぶっつけ仕事じゃだめね。職人なんだからさ。その点このラスフリーマンは日本の俗に言うFUSION=とっくに絶滅したジャンルのはず= GUITARISTにはない、つきぬけた洗練=輝く程の音の光沢が存在する。このようなレベルの高いサウンドならばアメリカのジャズチャートでトップになってもおかしくない。テクニックがあるから素晴らしいのではない、テクニックは感動を伝える手段=ここを履き違えている日本人はかなり多いし、その呪縛から逃れられていない人物も多い。ラスフリーマンはそんな心配はいらない。だれでも心底楽しめて、そしてサウンドがかなり洗練されているクオリティーの高い作品を時間をかけて作り出す=過酷なアーティスト間のセールス競争があってのことである。つうわけで、このアルバムはエンターテイメントとして立派な音楽だ。だがしかし、こういうのがだれにでも作れるわけではない、このことが重要だ。サウンドがかっこよくて、アレンジに時間をかけた作品ならば、みんな買うのだ。これは買いだ。