蝋燭姫 1巻 (BEAM COMIX)
ロマネスク・ゴシック期の教会装飾のような、平面的で冷たい描画である。
これは、必然的にキャラクターの「動き」に向かない描画といっていい。
にもかかわらず、本作品の主人公は良く動く。屋根を走り回り、格闘し、大声で喚く。
畢竟、背景や脇役たちから孤立してしまい、静止した背景・人々の中を、ただ主人公だけが動き回っているかのようだ。
また「第1巻」の常として、ストーリーが揺らいでいる。
その揺らぎが大きいので、唐突で性急(あるいは「行き当たりばったり」)な展開が見受けられる。
背景事情やキャラクターを安定させるために、しばらくは修道院での挿話を続けてはどうだったろう。
プロフェッショナルの編集方針などもあるのだろうから、素人の一読者があまりとやかくいう話でもなかろうが。
第2巻がそろそろ発売されるようなので期待したい。
統一感のない描画をどう消化し、ストーリー展開していくか。
ただし、やや取り戻しがきかないところまで来ているような気もするが。
蝋燭姫 2巻 (ビームコミックス)
本作は題名通り男尊女卑の極致である中世では儚い存在に過ぎない姫が再び王位争いに巻き込まれ、もう一人の主人公、侍女で女武芸者のフルゥが姫を守る為に奮闘する様子を描いて居ます。
本巻の中盤では逃避行中にフルゥの姫に対して忠実な余りに偏狭となる思いと、我儘で下々の者の気持ちを平然と踏み躙る様な姫の言動の応酬がスリリングです。
鈴木健也氏の緻密な衣服や背景と独特にデフォルメされた登場人物が織りなすフェティッシュな絵が大きな魅力です。
その絵が隔月連載でも維持しきれなくなっている頁も有りますが、肉体労働などはした事の無い姫の青白き裸体とフルゥの鍛えられたそれとの執拗な描き分けや拷問を受けるヤージェンカや生理現象等のドキリとさせられるシーンが多々あり、目が離せません。
個人的には穏やかだが淫靡な緊張感が漂う修道院の日常をもう少し長く読んでみたかった気が致しますが、賛否両論となるに違いなく、それでも感動的なラストまで読んで損の無い個性的な作品です。
表紙カバーはあまり注視せずに本編を最後まで読んでから拡げてじっくりと見る事をお薦め致します。
寒くなると肩を寄せて (ビームコミックス)
まず一言。
これぞサブカル漫画!
サブカル入門にほんとに丁度良い作品じゃないだろうかと深く感じました、ぜひとも一度手にとってみてもらいたい漫画です。
個人的な意見ですが、女性のむっちり感に何かひどく惹かれる物がありました、今や華奢なヒロインが当たり前なこの時代、そこをあえてこうもむっちりで行くのか?!と、作者さんは間違いなく倒錯した精神を持った人だと自分は思いました。良い意味で。