パパってなに? [DVD]
● 鑑賞者の誰もが、題名通り、「パパって、なあに?」と問い掛けられている気分になるだろう。「瞼の父」を二人持つ少年。日本では、‘瞼の母’の話に見られるように、少年の母親に対する思いの深さが賛美されるが、このストーリの背景であるロシア文化では、少年の父親に対する思いが憧れの対象になるようである。但し、その憧れのイメージが壊されたとき、少年のとる行動は、母子別れよりも、苛酷なものになる。この少年が説明しているように、少年の心に、母に対する思いもあるために、より複雑なものになるのであろう。
● 主人公の少年は、気が弱く、何かあると、おしっこを漏らしてしまう。この少年を支えてくれたのが、二人の父であった。戦争で負った傷のために、この少年が生まれる前に亡くなってしまった実父は、哀しいときに下級兵隊姿の幽霊として現れてくれることによって。母親の恋人で、少年が7歳ぐらいのときに、しばらく一緒に旅暮らしをした二番目の父は、敵に果敢に立ち向かっていくことを教えてくれた。初めの父は、顔を知らないので、なんだかぼやっとした影絵のような存在だったし、二番目の父は、‘こすっからい’いかさまペテン師で、どちらも、父としては満足できるものではなかったが。
● 実父の幽霊が現れなくなり、二番目の父を心から「パパ」と呼んだ日、少年は、その父と引き離される。しかし、運命のいたずらか、少年は、この父親と再び出会い、今度は自分の意思で別れを迎える。この二度の別れのシーンはどちらも、観ている者の胸を打つ。
● 舞台は、戦後すぐのスターリン政権下のロシア。このスターリンが良しにつけ悪しきにつけ、人々の生活の中心にあるのが伝わる。雪景色の草原は美しい。雪を見ることが好きな私は、この雪景色のシーンだけで、「観て得したなあ」と思えた。
パパってなに?【字幕版】 [VHS]
1952年若く美しい未亡人カーチャは、苦しい生活から抜け出そう
と6歳の息子サーニャを連れて当てのない旅に出た。
列車の中で二人は、強くたくましい軍人トーリャと出会う。二人はた
ちまち恋に落ち3人家族と偽って共同住宅で一緒に暮らし始めた。
サーニャは母親が自分を構ってくれなくなった原因であるトーリャを
疎ましく感じていたが、男として生きていくための術(喧嘩の仕方、
やられたらやりかえす、ピストルやナイフの使い方)を教えてくれる
彼を、少しずつ受け入れていく。でもまだ彼のことを「パパ」とは
呼べない。
自分が生まれる前に戦死した父親の幻影が頭の中から追い出せずに
いたのだそんなある日、トーリャは隣人たちをサーカスに招く。
皆が楽しんでいる間に密かに会場を抜け出したトーリャを不振に思い、
後をつけたカーチャの見たものは・・・
もぬけの殻になった共同住宅で盗みを働くトーリャの姿だった。
軍人というのは真っ赤な嘘で、実は姑息な泥棒だったのだ・・・。
世界中を泣かせた感動作です。