THE BEST
EPIC所属の頃の全シングルに
ライヴ等で人気の高かった曲を収録した2枚組のベストアルバム!!
ブレイクのきっかけになった『男』や
紅白歌合戦にも出場した『早くしてよ』等、ヒット曲が目白押しの全30曲!!
懐かしく感じたり、今改めて聞くとすごく新鮮だったりします。
with the best
久宝瑠璃子は、92-3年のビーイングブーム、94-96年の小室ブームの間に活躍していた印象があり、同時にどちらにも影響を受けない独自性のあるサウンドだったような気がする。しかしキャッチ-なメロディーを多分に楽曲に含ませていた事も忘れていなかった。そのメロディーと並んで印象深い部分は、やはり歌詞であろう。つまり女側から歌った男勝りの強気な歌詞。当然か弱く歌う事が必然的だったアイドル全盛の80年代には、あり得ない事で、俄に女性進出が目覚しくなってきた世相と切り離すこともできないだろう。
強気な歌詞として、彼女に先んじて頭角を現したのは大黒摩季だろう。大黒もまた久宝と同じように、女性が主導権を握るような曲を多く作っていた印象がある。そして、「男勝り」という共通項から思い浮かべるのが、久宝と時を同じくして活躍していた橘いずみである。どうやら、この時期の音楽情勢として強気な女性像を描く曲が多かったのだろうか?と今更ながら思うのだ。ただ面白いところがそれぞれに曲調が異なる所だ。
大黒は主にリズム重視のダンスサウンドを巧みに取り入れ、橘いずみは、女性らしからぬフォークギターをかき鳴らすスタイルが多かった。しかし、これらのスタイルは強ち彼女らのスタンスとは無関係だとは思わなかった。つまり、ハードなリズムサウンドそしてかき鳴らすギターストロークによって、間接的に強気な女性像を含む歌詞を持ち上げていた印象がある。
対して久宝瑠璃子は、前述した通りキャッチ-で万人受けするメロディーを主体としていた印象で、その点においてはやや強気さは薄らいだかもしれないが、だからこそこれだけ人気を勝ち得たのだろう。かといって、やはり強気な歌詞は多かった。特に初期はその傾向が強い。しかし、一転マイナー調バラード「さよなら」でか弱き心理描写をする辺りがまた男を落すには充分なのかも知れない。
つまり「アメと鞭」である