滝田ゆう落語劇場 (ちくま文庫)
まんがで読むとどうなるのかなと思っていましたが、さすが(!)、とてもおもしろいです。で、落語っていうのはその噺を知っていてもまた聴きたくなるものですが、しばらくたってまたぱらぱらと読んでいる。ざっくりとした、といって細やかな計算とか調子はもちろん整っていながらなので更にということなんだと思いますが、軽妙な落語の味わいがきちんと出されていて、読み返しても笑うところではしっかり笑ってしまいます。
滝田ゆう傑作選「もう一度、昭和」 (祥伝社新書)
著者の過去の作品をヒップアップして編んだ本。
マニアには安直な編集でも、初心者には入門書として好ましいだろう。
懐かしさ全開の滝田ワールドなんだから。
寺島町奇譚 (ちくま文庫)
筆者が少年時代を過ごした戦前の東京都向島辺りの街の描写がなんともいえず素晴らしく、全19編を読んでいるうちに、いつのまにかそのワンダーランドに迷い込んだかのような錯覚に陥ります。自分の子供時代にもまだ残っていた、小さな家で家族が身を寄せ合って生きていたような濃密な人間関係(空気)が懐かしい。この本の中では街全体がそんな感じです。’玉の井、ぬけられます’というキーワードにピンとくる方がどれほどいるのか、わかりませんが赤線・娼街と子供たちの世界が自然につながっている感じが凄く好きです。「三丁目の夕日」みたいなモロ回顧趣味の作品とは違いますが、かの作品が好きな方にもオススメしたいと思います。