百物語 (新潮文庫)
昔、人は怪異とまともに向き合い、それによって謙虚な心を持つことを自然に身につけた。一つの必要悪であったわけだ。
江戸の風に吹かれている杉浦女史の99話は硬軟自在、怨みや可笑しみのごっちゃまぜである。でも一気に読み終えたあと、ちょっと心の懐が広くなっているような気がするのだ。
結局怪異とは、自分の醜さ、怖れ、苦悶、嫉妬などを鏡で見るようなものだ。そしてそれを見られることこそが人の人たる所以なのだ。
東のエデン (ちくま文庫)
昔とある雑誌で見た短編の漫画が、どの本に収録されているのか分からず、この本に掲載されていることをやっと発見。
この短編集は江戸というより、明治時代のものが中心かと思いますが、独特の杉浦さんの雰囲気が出ていて、面白いです。
私が杉浦さんの本を購入するのに、とりあえず知りたかった情報として…、この本は全て短編読みきりの漫画集です(笑)。
(小説なのか、漫画なのか少々わかりにくいですよね…)
読みやすい漫画とは、正直申し上げにくいですが、レトロな雰囲気、ちょっと不可思議な雰囲気を味わいたい方にはお勧めです。
一日江戸人 (新潮文庫)
軽快な”語り口”とイラストが楽しめる素敵な本です。
筆者がこの著書に限らず、江戸の人々が現代と比べても、いろいろな意味で「豊か」だったことを紹介しています。
転じて、平成の世も心持で「豊か」になれることがよく伝わってきます。
それは筆者が江戸文化に対する深い愛情によるものだと感じます。
筆者はまさに平成の世の「江戸文化の語りべ」だと思いました。