電脳文化と漢字のゆくえ―岐路に立つ日本語
本書はコンピュータ(ワープロ)による日本語表記の制限、特にグローバル・スタンダードとして採用されようとしているUnicodeによる制限に対し危機感を持っている編者が、作家、種々の分野の研究者、そして開発者側の座談会を通してこの問題を訴えたもの。実は私はソフトウェア開発者なので、肩身の狭い思いで本書を読んだ。
作家の座談会では、コンピュータ(ワープロ)を使わないという方もいたが、使用する方は、とにかく表記できる文字の制限を無くして欲しいという切実な訴えが出た。自身の書く作品は勿論の事、過去の古典と呼ばれる作品の一部が表記できないのだから深刻な問題だ。
各分野の研究者(例えば地名研究)達の意見も作家の方とほぼ同様で、特に研究成果をデータベースで管理している方の声は深刻で、コンピュータの決め事で研究に支障が出るのはケシカランと言うごもっともな意見。
次いで開発者の立場から意見が出されるが、コンピュータによる日本語表記のために我々はこれ程頑張って来たと言う歴史の紹介が主で、今後の明確な展望が打ち出せていないのが同業者としても残念。Unicodeに捉われない日本独自の姿勢を積極的に打ち出して行く必要性があるのではないか。
最後に江藤淳氏と白川静氏の特別対談があり、日本人が漢字とどう係ってきたか、文学作品を中心に語られる。
本書を通じて、日本語を使う我々が"従"、コンピュータが"主"になっている現状を改めて思い知らされる。私自身、文章を書く際、"カナ漢字変換"で出て来ない漢字は使わない習慣が身に付いてしまっている。こうした問題を多くの方が憂慮しているにも係らず、明確な打開策が打ち出せていない現状に本当に危機感を覚えた。
アリよさらば ('94放送 / 出演 矢沢永吉、長塚京三) [DVD]
みなさん酷評されていてびっくりしました。このドラマを見るまで、私にとって矢沢永吉は笑いの対象だったんですよ。演歌にしか見えないロック、ギャグにしか見えないビッグのカリカチュアとしての矢沢永吉。ところがこのドラマを見てリスペクトの感情が沸いてきたんですね。この人はファンのために職業矢沢永吉をやっているのだ、と。ストレートに役を演じるのではなく、矢沢永吉を業として一生演じ続けることを決心した一人の男が矢沢永吉が演じる役を演じることの困難さ…があるはずなのにそれを感じさせない。広く一般大衆に矢沢永吉の凄みを伝えることができたことで、このドラマは十分意味があったと思います。たとえそれがファンにとっては許されない暴挙だったとしても。少なくとも私にとって、矢沢永吉は嘲笑の対象からリスペクトの対象に替わった。私と同じ一見さんは多かったはず。矢沢を国民的ヒーローに押し上げるきっかけの一つとして、十分意味のある作品だったと思う。
ANOTHER GANTZ ディレクターズカット完全版 [DVD]
内容や感想については他の方が書いて下さっているので個人的な感想を1つだけ。
内容は若干違っていましたが原作にもあった西くんの学校生活の部分が実写で見れて嬉しかったです!
西役に本郷奏多さんを起用したのも正解だと思います。
神様、もう少しだけ [DVD]
とにかく、一言では表せないぐらい私の中では至高のドラマ。まだ無名だった深田恭子が、体当たりな演技を見せてくれます。このあと、彼女はたくさんのドラマに出演しましたが、私の中ではこのドラマ以上に彼女が輝いたドラマはないと思っています。当時女子高生の援助交際が社会問題になっていた頃で、深田恭子の役はまさに現代の女子高生。ただ毎日を何も考えずに生きていた。その女子高生が、憧れの音楽プロデューサーと恋に落ちるというストーリー。ヒロインがHIV感染しているという役どころは、アイドル路線で売ってきた深田恭子にとって冒険だったと思います。撮影時、NGを連発していた深田恭子に対して金城武は「大丈夫、もう一回やろう」と何度も励ましたそうです。共演した加藤晴彦、仲間由紀恵も金城武に影響を受けたとインタビューで話していました。後半に進むにつれ、深田恭子扮する真生に病魔の影が忍び寄ります。しかし死の影に怯えることなく、まっすぐに自分の信じる道を歩む真生に、本当に勇気づけられます。死の心配もなく生きている自分に、真生の言葉が痛いほど突き刺さってきました。最終話は何度見ても必ず声をあげて泣いてしまいます。「どれだけ命を燃やして生きれたか・・・」この真生の言葉に、自分が励まされます。この作品で、主役2人が大ブレークしました。見れば見るほど、様々な事を考えさせられる本当に最高のドラマです。
龍が如く 劇場版 通常版 [DVD]
北村一輝=桐生一馬と真島吾郎=岸谷五郎の配役が良かった。冒頭の桐生ちゃんのアクション・シーンと一連の真島の兄さんとの激闘・死闘は白眉物である。ただ、残念なのは、龍が如くの物語を2時間で表現しようと欲張りすぎた為、登場人物として絶対外せない、風間の親っさんとの関係、伊達さんとの過去、サイの花屋、ライバルの錦山の過去と友情、蛇華のラウ・カーロン、東城会の武闘派嶋野太、三代目世良会長、近江の林と寺田、由美との過去と愛情や喧嘩が超人的に強いだけでなく、弱者や理不尽に痛めつけられる神室町の人達を救ったり、もめごとを引き受ける人柄を描くことによって、桐生一馬という男の凄味が観ている者に伝わり、魂を揺さ振られる映画になったのではないかと思う。故に3時間で描くか?パート1、2で10月くらいに公開するかにするべきだと思う。あと、カップルと銀行強盗は必要がないと思った。次回は是非近江編を3時間半で希望します。