「ガンダム」の家族論 (ワニブックスPLUS新書)
富野由悠季が自作品をあまり肯定的に触れないことは、(その作品のファンとしては残念なことに)よく知られたことであろう。本書は、決して自作品を肯定的に書いているわけではないが、アニメ冊子のインタビューのような否定的なことは言っていない。「家族」をテーマに、作品に込めたメッセージを読むことができ、その点においてとても貴重な本になっている。
タイトルとなった『ガンダム』は当然ながら(本書のタイトルの付け方にも、富野はひと言意見を言っているが)、『トリトン』、『ザンボット3』、『ダイターン3』の初期作品にも家族というテーマがあるし、その辺りにも触れている。『イデオン』のドバが自身の投影であることは映画を見れば一目瞭然なのだが、それについても、シミュレーションの一つであったことをはっきりと語られている。
私が新たに発見したことの一つは、『機動戦士Vガンダム』について書かれた箇所で、「病気へと内向していく力が過剰にこもってしまった〜」、「〜状況に怒り、鬱憤晴らしを作品の中でやっていた」等と語られている部分で、そういう言い方はこれまではしてこなかったんじゃないかと思う。やたらと否定的に語られるVガンダムだが、何か負の力が強烈にほとばしる作品でもあった。それを作品(=芸術)というのは富野は鳥肌が立つほど嫌いだろうし、だからこそ失敗作として封印されているのだろうとも感じられた。後の『ブレンパワード』で綺麗に反転してみせて、Vガンダムにも「救い」がもたらされると見ることもできるのだが、そこに家族というテーマをより明確に置いたことも興味深い。
『F91』には特に多く言及しているが、富野由悠季が一つのテーマで自らの作品群を語るという点において、非常に興味深い一冊である。
『ダンバイン』のショウ・ザマや『Zガンダム』のカミーユ・ビダンに関してはほとんど触れられていないのが残念ではあるが(ある種の類型的な、親への強烈な反発と諦観を見せる主人公たちである)、『リーンの翼』小説完全版のコドールや、『ターンAガンダム』のディアナの母性に関する件は面白い。
また、3.11を経て、新たな時代へ向かう世代への提言を読み取ることで、この(ページ数としては薄い)新書には多くの学びの機会がある。
伝説巨神イデオン 総音楽集
CDにて既発売の5タイトルに加えて、かつてCD化されなかったIDEON*IIIと未収録BGM集、そして一度も音源化されていなかったTVサイズ「復活のイデオン(2番)」と劇場版主題歌2曲のカラオケが、はじめてCD化されました。
構成された早川優さんによると、ガンダムTV総音楽集等とは構成を変えて、元のアルバムの曲順を出来る限り再現したとの事ですが、それは良いとしても主に1クールで使用された多数の流用曲について全く触れないのは不思議です。個人的には、それらの流用曲を含むSEサウンドトラック集で1枚作って欲しかった所です。
なお、以前にも収録&発売されていないTV版BGM(「DSドライブ(C-5A)」のストリングス無しバージョン)と劇場版のブリッジ一曲(アクセントC)が今回も収録されていません。また、IDEON*IIIに収録されたTV使用版「イデオン[アイキャッチ]」(*曲頭に「バトルフィールド」の一部を追加したもの)も本CDでは未収録です。
上記に加え、未収録BGM集や既発売CDを再構成したCDのライナーノートに掲載されていた、Mナンバー付き楽曲リストが再掲されなかった、という意味でも資料性には若干の?が付くので、取り敢えず「現時点での」総音楽集として楽しみましょう。
# なお下記音源が流用曲を含むと言われていますが、入手困難な音源のため詳細は不明です。
「MP108 - Guerre et Destruction 1」及び「MP109 - Guerre et Destruction 2」 by Piero Umiliani
「MP 33 - Fantasmagories」 by Camille Sauvage
「MP02 - Musique Pour... Jounal Parle Et Televise」 by Daniel J. White
「Eve for ever」 by Michel Gonet
「MP20 - Industries」 by Marie-Claude Robert
「MP21 - Univers 2000」 by Eric Framond
イデヲタの発掘は続く...
「伝説巨神イデオン」劇場版 Blu-ray(接触篇、発動篇)(初回限定版)
3/29に商品が届いたのでさっそくファーストレビュー。通しで見ずにチャプター飛ばしでざっくり画質のみ確認。
いつのまにか市民権を得てしまいマニアの手から離れてしまったガンダムとは異なり、いまだマイナーであり続ける孤高の存在イデオン。
そのマイナーさゆえに今回の価格設定なのだろうと、あきらめ半分ニヤニヤ半分で受け止めている。
ある程度お金が自由になる大人で良かったなぁと思う反面、いつまで経っても消費者の足下を見続けるアニメ映像業界のビジネスセンスの無さに失望が隠せない。
既発売のDVDと比較してあきらかに解像度が向上しておりBD化の意味は十分あったと思うが、高解像度≠高画質なのでそこは注意されたし。
特に接触篇は元々TV版の総集編であり、パッケージ帯に「ニュープリントマスターポジ・HDリマスター版」とあっても、おそらく特別なHDリマスター処理が行われていないようなので、みなさんが想像通りの画質と思っていただければ良いかと。
個人的にはDVD版より色味が鮮やかになっていることが嬉しい。DVD版は赤色の抜けが悪くてイデオンが偽物っぽく感じていたので。
とにもかくにもBD版は買って良かった。価格の高さに関しては前述の通りだが、DVD版より高解像度の劇場版イデオンを手元に置いておけるだけで大満足。ただしイデオンを知らない人にはまったく勧めない。いろんな意味で絶対文句言われるだけだから(笑)。
イデオンの新作の噂も小耳にはさんだが、さすがに富野御大でもこの劇場版を超える作品はもう作れないと思うので、ぜひそのまま立ち消えて欲しいと切に願う。
以下に各ディスクのメニュー構成を記載。この価格取るならチャプターメニューくらいつけても罰は当たらないと思うのだが…。
▼接触篇 メインメニュー
オープニング(チャプター1)
本編(チャプター2〜9)
エンディング(チャプター10〜11)
映像特典
−予告編(全6種類)
−キャラクター設定集(42名分のキャラ設定イラスト&テキスト)
−関連資料集(解説、CD、プラモデル等の紹介が全9ページ)
−湖川友謙イラスト集(全8ページ)
▼発動篇 メインメニュー
オープニング(チャプター1)
本編(チャプター2〜11)
エンディング(チャプター12〜13)
▼初回生産特典DVD メインメニュー
トークショー(チャプター1〜8)
来場者と質疑応答(チャプター9〜10)
湖川友謙氏作画(チャプター11〜15)
伝説巨神イデオン DVD-BOX
以前のタキコーポレーションのボックスとどう違うかわからなくて
ビクターに問い合わせをしました。タキのはトールケース5巻組で、
2ボックス合わせるとやはりけっこうな場所を取るし、いろいろ改善点も
指摘されていた商品でしたので、いくらかでも改善しているなら
買いなおしても良いなと思いまして。
あまり詳細は教えていただけませんでしたが、基本的にはパッケージも
含めてタキのものと同じで、特典等はつきませんとのことでした。
僕個人としてはBD待ちになりますが、プレミアがついていた商品が
こうやって廉価で再発されるのはよいことですね。ことにこの作品の
ような傑作であればなおさら多くの人が手に取れるように供給が
あり続けるのが望ましいですし。
もう少ししたら詳細情報も出てくるかもしれませんが、もし商品仕様等で
迷っておられる方がいらっしゃれば、わずかですがご参考までに。
伝説巨神イデオンBGM集
テープもありましたが、CD版も買いました。やはり、あの当時はアニメ全盛期でしたし、その頃の事も思い出させるかなと思います。音楽は、クラッシックとジャズがうまくマッチしていて、アップテンポの曲も多く、迫力もあって、いいと思います。