今語るあの時あの歌 きたやまおさむ―ザ・フォーク・クルセダーズから還暦まで (CDブックシリーズ)
「今語る」にだまされた、とは言いませんが、純然たるインタビュー本ではありません。そうかだから著者が「きたやまおさむ」ではなくて「前田祥丈」なんだ、と今頃気づきました。
きたやまおさむの語りに、かなり著者の解説というか説明が加えられています。別にそれが邪魔だとは思いませんが、やはり生の声を聞きたいと思います。
内容はかなり充実しています。きたやまおさむの虚と実というか、プレイング・マネージャーぶりを時系列を追って語られていますし、将来についてまで触れられているところが単なる回顧録に終わらせていないので良いと思います。
CDは、きたやまおさむについてはあってもなくても構わない、本当におまけという感じです。8曲収録されていますが、本書にコメントがある以外は特にこの8曲でなければならないという説明はありません。それでもどれもが代表作だと思いますし、「戦争を知らない子供たち」はジローズのバージョンではなく、万博の時のものだと思いますので、ある意味必聴ものかもしれません。
ベスト・フォーク100曲~青春のFolk&Pops~
ここに収められている懐かしい曲は、フォーク・ソングが爛熟した文化を作り、ニュー・ミュージックを経て、J-POPへと進んだ時代を代表する名曲ばかりです。1960〜70年代のJ-POPのヒット曲を集めた6枚組コンピレーション・アルバムですので、幅広い年代をカバーしています。青春のメロディという性格を持っていますね。
初期の和製フォークを代表するザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」は、日本中の人がビックリしました。最初はカレッジ・フォークというジャンルではなく、ナンセンス・ソングの歌い手として認識されていました。「オラ~は死んじまっただ~」という人をくったような歌詞とメロディでしたが、その特異性は過去に例がなく、見事に大ヒットしました。
その後、「悲しくてやりきれない」などの名曲を作りましたが、突然解散しました。「フォーク」の原点とも言えるグループでした。1971年に発売された北山修、加藤和彦が作った「あの素晴らしい愛をもう一度」も、多くの人に愛されました。
はしだのりひこは、フォークルの解散の翌1969年に杉田二郎も参加したシューベルツを結成し、あの「風」で再び音楽シーンに踊り出てきました。北山修作詞、はしだのりひこ作曲というコンビの生んだ永遠の名曲です。シューベルツは1970年に解散し、翌年には、クライマックスが結成され、「花嫁」という大ヒットを飛ばしました。これもエバー・グリーンの輝きを持った名曲です。
その他に、当時流行ったグループサウンズの曲や、トワ・エ・モワ、小椋佳、井上陽水、かぐや姫、チューリップ、アリス、甲斐バンド、尾崎亜美、松山千春等の曲が収録されています。前奏を聞いただけで歌いだしが思い出せるほどです。我々の世代の「ナツメロ」なのでしょうね。
戦争と平和
YMOの再結成版と印象がかなり似ている。昔の曲を演奏するだけの再結成ではなく「現在」というものに対しての明確な意思表示が感じられて、本気でやってることがよく分かる。加藤和彦に対してのきたやまおさむと坂崎幸之助の助力がまた絶品で役割分担が上手なされているので下手に個性がぶつかり合うことがなく聞いていて疲れない。シリアスな音楽も良いが、音楽でここまで楽しめるんだ、とおう証明でもある至極の作品集。文句なしの傑作。