夏期限定 トロピカルパフェ事件(後)(完) (Gファンタジーコミックス)
彼の作品は大分前からずっと追いかけていますが、この作品は個人的に最高傑作です。
やはり、彼の売りはその魅力的なキャラクターと、徹底的にロジカルなトリック、そして、青春物でありながら、最後に苦々しく心に残る毒を含んだエンディングだと思います。
今回の作品で、これらの要素がそれぞれ最高レベルに絡み合い、そして、とてつもないインパクトとして読者に伝わります。
前作の、『春季限定イチゴタルト事件』を読んでいた人ほど、キャラクターに感情移入出来るはずだし、そのキャラクターに感情移入している人ほど衝撃的なラストとなっています。
巻末の解説で小池氏も指摘していますが、この、キャラクター造詣をそのままどんでん返しに利用する手法は、まさに新たなミステリー小説のタイプだし、米澤穂信でしか書ききれないジャンルです。
彼の、ジュブナイルノベル的な魅力的キャラクター造詣や、軽妙なセリフ回しがあってこそのこのラスト。
他の作家がそうそう真似できる芸当ではありません。
今までは、ジュニア小説出身という事で文章の軽さや、リアリズムの欠如などで社会派好きの読者などには倦厭されていたかもしれませんが、この作品でこの作者は完全に一皮向けたと思います。
もしもこのまま米澤さんがこの路線でこのクオリティを維持し続けることが出来るのならば、間違いなく社会派や本格派を上回る存在となる事が出来るでしょう。
久しぶりにとてつもない才能を見せられた作品でした。
まだ読んだ事の無い方は、ぜひぜひ『春季限定いちごタルト事件』と合わせて読むことを強くお薦めします!
ちなみに、続編については期待はしたいですが、この作品はこのままであって欲しい気持ちも少しあり、複雑な心境です。それぐらいに今作のラストは衝撃的で、そこから次へ続ける事は想像を絶するほどレベルが高いと個人的に思うのです。下手に続編を出されて残念な結果にはして欲しくないし、本当に複雑です。でも出るなら読みたい!(笑)
COVER ALL-HO!
どの曲もまさやん風味に味付けられた
見事なコース料理を堪能させていただきました。
中でも私のお気に入りは
「大きな玉ねぎの下で」
「いかれたbaby」
の2曲です。
「大きな玉ねぎの下で」
頭の中で、見たこともない情景がよみがえってきます。
ペンフレンドの二人。
出会う約束。
出会って失うことを恐れた彼女。
武道館のコンサート。
誰もいない隣の空席。
盛り上がる観客と彼女が来ないとわかった自分の対比。
月夜の水面とすれ違う人の波。
様々な人がいて、
誰が悪いとか良いとかではなく
必ずしもうまくいかない想いが交錯する
せつなくも、優しい気持ちにさせられる名曲です。
「いかれたbaby」
簡単な言葉で綴られた歌詞に込められた
見えない力を想う男の姿に胸が締め付けられます。
この曲を聴いて、
自分も確かに見えない力に支えられている事を実感しました。
夏期限定 トロピカルパフェ事件 (前) (Gファンタジーコミックス)
小説の筋を忠実にわかりやすく辿っていた春期と比べると、
細かいアレンジも含めて全体的に賑やかで明るいイメージです。
毎話ごとの扉絵や小佐内さんの変装が楽しいですね。描かれている数々のスイーツもおいしそう。
話もわかりやすく、非常によくまとまっています。
健吾の変貌振りには最初面食らいましたが読み終わる頃には慣れました(笑)。
夏休みということで私服姿の多い小鳩くんと小佐内さんも表情豊かでいい感じです。
後巻も楽しみにしています。
transition
アレンジがAOR風や村田陽一氏の起用からわかるように、本格派のファンク=ウーリッツァー、クラビ、オルガンを使用したもの=になっている。
こういうアレンジはかなりかっこいいわけで、ある部分はスティーリーダンのブラスアレンジを連想させる=恐るべし村田陽一。
んなわけで、パンキッシュな面よりも、そういったやや落ち着いたアレンジに包まれた大人も聞ける熱い音ができたみたい。
部分的にはやはりニューオーリンズの音楽を日本の音楽に翻訳しているみたい。あとはレニークラビッツ+ジョンスペンサーみたいに今トレンドがなっている印象。10点中8点。
サルサ食堂~日本ラテン化計画!~
前からデラルスは好きでしたがやってくれた!って感じです。J-POPの好きな人も聴かない人もサルサの入口としては良いと思うし、このアルバムを聴いているだけで気分が上がります!サルサを日本人に知ってもらう為にもぜひ!って感じです。