乱暴と待機 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
復讐のため?に女を拉致・軟禁し、その行為をのぞく男と他人から嫌われることを恐れるあまりすべて受け入れ、疎まれる女の異常な関係。そこにあらたな男女が関わることで均衡が破綻し、この異常な関係の真実があらわになってくる。設定はフランス古典文学にようだが、社会システムには適応できないが人間関係には強度に依存症という現代人の病理を赤裸々に描いている.映画では兄役が浅野で、同僚が山田だが、逆のほうがいい気がする。
暖流 DVD-BOX
激しく複雑に渦巻く人間模様…経営難の病院を舞台に、ある時は、医療過誤・院内感染という医療ドラマがあり、ある時は、病院を乗っ取ろうとする組織と、病院を守ろうとする弁護士の戦いが描かれる経済ドラマがあり、そしてその中に、誰が誰を裏切るかすら分からないサスペンスがあり、複雑に絡み合う激しい愛憎の物語がある…まさに片時も目が離せない見応えのあるドラマです。
中でもオススメなのが、山田純大さん演ずる、敏腕弁護士・日疋祐三。あくまでも病院を守ろうとする姿は、とても男らしく、頼りがいのある優しい笑顔に、目がクギヅケになり…一言や二言では語られないほど素敵です。
どんなドラマが好きな方も、どんなタイプの人が好みの方も、ご覧になられれば間違いなくハマるドラマです。必見の1作です。
にんじん (岩波文庫)
今朝(2008.11.23)FM東京で作家の小川洋子さんが『にんじん』を取り上げていたのでなつかしくなって、一筆書いてみた。我が家では「にんじんはメロンが嫌いだったね」というフレーズが良く使われた。自分の嗜好の好き嫌いを相手から決めつけられたとき、「場を和ます」お返しのフレーズとして…。
冒頭にある、にんじんはメロンが嫌いだったねの話と中盤にある「行きと帰り」(aller et reteur)の話が印象的である。寄宿舎から週末に帰って行くとき、そして戻りのときのにんじんと母・ルピック夫人との「噛み合わなさ」。そりが合わない母と子を端的に示した傑作だと思う。