町長襲撃―産廃とテロに揺れた町
「市民」や行政の動きをしっかり書いてある。市民の努力や県のDQNな対応などはよくわかった。
しかし本書を「市民」の出す本と違う点を上げるとすれば産廃業者の言い分が入っていることだろう。ゴミを捨てるのであれば誰かが処分しなければならない。だから「悪貨が良貨を駆逐する」状況の中で奮闘する業者にはエールを送りたい。書いてある通りだったらね。
悪貨に舐められない行政というのを期待したいが・・・
襲われて―産廃の闇、自治の光
縁があり、NHK記者・解説員から岐阜県御嵩町町長に転身し、産業廃棄物処理場の建設計画に遭遇した柳川喜郎氏。
本書は、「対行政テロ」により瀕死の重傷を負った当事者の柳川喜郎氏の回想録であり、産業廃棄物処理場をめぐるルポであり、国の行政、県の行政、町の自治、住民の自治の記録である。
飄々とした筆の運びが、過剰な切迫感も無く、淡々と過疎の町の状況と分厚い札束の攻勢を前にした人の生き方の選択を描き出す。
住民自治が単なる当該自治体の行政区域によるものに留まらず、日常的な経済交流圏の連帯的自治であったり、水系を同じくするものの生活圏的自治であったり、歴史的記憶を共有するものの文化としての自治あったりと、住民自治を支える多種多様な自治が行間から浮かび上がる。