プロコフィエフ作品集
やっと出たサードアルバム♪
筆者は、遅まきながら07年の初め頃にデビュー盤を聴き、感銘を受けた。
大いに期待して聴いた。
ソロの大曲としては、デビュー盤で「知る人ぞ知る秘曲」=『チャイコの大ソナタ』を、セカンドで「標題音楽集」=「展覧会の絵」を取り上げていた。
そしていよいよ「知名度の高い絶対音楽」を披露♪
それもプロコの第7ソナタ!!
商業録音の世界では、強敵揃いの曲だ。
有名曲ではあっても、定石と言えるような解釈が出来上がっている程の超有名曲ではない。道を拓く手腕が試される。
中でも、ピアニストの持ち味が顕在化しやすのが、七拍子でジャジーに爆走する終楽章。
以下、音盤の歴戦の猛者三強が弾いた終楽章のイメージ。
機知と愉悦に満ちたグールド。
リズミカルなのに詩情が漂うプレトニョフ。
醒めた確信犯的破壊者フランソワ。
…期待が大きいと、水準程度の出来栄えではガッカリなのだが、さていかに。
うひゃ!期待以上ぉぉお!!
上原の弾く終楽章は暴力的なまでに力強い!
フランソワも暴力的だったが、校内暴力(懐)に喩えるなら、彼のは校舎の窓々を礫を投げて割りました、という視覚的な炸裂イメージが浮かぶ。
上原のはバットで1枚1枚叩き割って回るような…手が痺れるような触覚イメージが湧く。
例えば、強奏状態から左手と右手が広く離れて行くような箇所でも、左手を緩めて音量的なバランスを取ろうとしない。
ではアンバランスだったり、右手が低音の塊に飲み込まれてしまったりしているのかと言うとそうではない。
両手のバランスは絶妙に取れているのだ。
上原は右手を強めてバランスを取っているように聴こえる。
勢いカルス化の方向へ向かうハズの低音の粒たちは、どんなふうにペダルを駆使して揃えているのか、楽音としての形状を保っているのだ。
恐るべき才能とテクを再認識♪
母は強し!…って意味が違うか…笑。
グランド・ソナタ
チャイコフスキーのピアノ曲集でCDデビューするピアニスト(それも老舗のEMIで)って、他にいただろうか。大変ユニークなアルバムだが、決して意外性だけをねらったものではない。上原はチャイコフスキーのピアノの独特な語法を身につけ、実に自然でみずみずしく表現している。ショパンのような華やかさはない、全体にくすんだ音楽だが、上原の演奏で聴くと、その美しさを再認識する。プレトニョフ編曲の「くるみ割り人形」の一曲など、見事というほかはない。
この曲集はイギリスの代表的クラシック音楽雑誌『グラモフォン』2004年7月号で「エディターの推薦」盤に選ばれ、月評でも「多くの若いコンクール優勝者とは違って、もはや世界級のピアニスト」と絶賛されている。また上原のインタビュー記事ものっていて、ブレンデル、ペライア、アンデルシェフスキーを尊敬していること、自分のピアノの音を「繊細で純粋、強くて深い音でありたい」などと話している。
これからの彼女の活躍に注目したい。
ドラマ 「のだめカンタービレ」 in ヨーロッパ ミュージックガイドブック [雑誌]
なんといっても千秋様、素敵な写真がいっぱい。それに、連ドラのときのストーリーも、ぜひ、見てください。「のだめ」ファンには、ぜひ、
チャイコフスキー・コンクール~内側から見た歴史 [DVD]
今までのコンクールの歴史や演奏が年を追って紹介されています。ドキュメンタリータッチなので演奏が部分部分なのは残念!それでも感動ものです。初回優勝者のクライバーンはでてくるわ、まだ黒髪ふさふさのアシュケナージは今より演奏も若々しい。そしてチョンミュンフンも出場してたのですねえ。演奏もエネルギッシュ。
お得なのはプレトニョフ様の??歳当時の会場での演奏も一楽章分収録。手を見てると目にもとまらぬ早業。そして、クレーメルのコンチェルトも一曲分収録。チャイコフスキーは涙が出てきます。
もちろん諏訪内さんはじめ日本演奏家も短いですがたくさん収録されています。なんといっても審査員の映像がまたすごい。ロストロホービッチ、ギレリス、オイストラフにコーガン、カバレフ!ス!!キーにショスタコービッチ、ロシアといえばハチャトリアンと、このコンクールはなんてすごいのでしょう。チェロ部門 声楽部門も収録されています。
映像、音質がもう少しいいと5つ星です。