エリック・ロメール コレクション 緑の光線 [DVD]
この女性の姿はとても等身大に描かれています。例えば、ベジタリアンであるが故に、友人たちとのランチの席で、
とても苦しくなり傷ついて答えられない質問をされたりするところ。
「君は肉食はしない、動物たちは生きていたからと言う。じゃあ、野菜や果物たちは生きていなかったと言うの?
どうして野菜や果物だったら食べれるの?」と質問され、皆が食べる手を止めてその答えを促すところ。
これはつまり彼女に、肉食しないのならば死ねば?というに等しい。
ベジタリアンならこのように解釈します。全く同じ言い回しの質問を何度となくされてきた私などは。
このシーンだけでも、もはや彼女は他人ではなく、私にとって等身大の重みを持った存在となりました。
結局一人旅をすることになり、とある駅の待合室でベンチに座り、ひざの上に拡げ読み耽っていたのが
ドストエフスキーの「白痴」・・・・・
ある種の20代の女性の姿をこれ程、等身大に描けていた映画があったでしょうか!?
この時点ですでに彼女は私自身となっていました!
答えにはならなかったでしょうか。
エリック・ロメール・コレクション DVD-BOX V (満月の夜/緑の光線/友だちの恋人)
はっきりいって、ロメール映画は「会話」命なので、上級フランス語力がないと日本人には99%わからないのです。(フランス人でもロメール知らない人いっぱい。)字幕は話の流れを短い言葉でつなげようとしているため、どうしても間違いだらけになってしまっています。
このことをはじめに言っておきます。
しかしながら、いえ、だからこそ、挑戦してほしい!!
『緑の光線』は万国共通の人間の心理を扱っていて、中でも、字幕でも十分楽しめる映画です。『友達の恋人』は、駿河台出版社から、シナリオを利用したフランス語学習教材がでていますので、フランス語会話の学習に最適です。
そして『満月の夜』、たいへん美しい映画で、封切直後、主人公の女優にパリ中が虜になったといわれています。しかしその女優パスカル・オジェはまもなく25歳で突然死。映画のストーリーの悲哀とあいまって、切なくてなりません。その意味でも本当に美しく悲しい不思議な映画です。
緑の光線【字幕版】 [VHS]
夏のバカンスの時期に、自分の居場所が見つからず、所在な気な女の子が旅に出ます。海に太陽が沈む瞬間に現れる緑の光線その光線を見ると幸せになれるそうです。彼女は見ることができでしょうか。
私はこの映画を見て、実際に緑の光線が現れるといわれている小笠原まで行きました。