ラクガキ王国2 魔王城の戦い TAITO BEST
「自分の描いたラクガキが立体化して、思うままに動かせる」
この言葉に心躍った人は迷わず買うべきです。
前作は、戦闘はコマンド選択式のジャンケンみたいで、ラクガキは勝手にとんだりはねたりしていたため、“思うままに”とはちょっと違いました。
しかし、今回は3Dアクションゲーム。プレイヤーが自分で操作します。
また、ラクガキが使うワザも、前作では色や形に合わせて自動的に割り振られていましたが、今回は自分で決めることができます。(腕がないとパンチできない、などの制限はあり)
ロード時間も著しく短縮され、プレイも快適になっています。(ラクガキの動作チェックが面倒になったのだけは残念)
車輪など、新しいパーツも追加されました。
惜しむらくは、ストーリー。
子ども向け……というか、「自分が魔王の封印を解いてしまい、町の人々は魔物の奴隷にされている(らしい)。両親も行方不明」という状況なのに、主人公に全く緊迫感がないというのは、感情移入できないんですが……。(なので星4つ)
しかし、ラクガキの楽しさが全てを補う……というか、それこそが全て。
自分で描き出したキャラクターで、思う存分飛んだり跳ねたりしましょう。
ラクガキ王国2魔王城の戦い 公式完全ガイド
各マップや、そこで手に入る落書きの取り方など、一通り掲載されています。
私はこのゲームを早くクリアしてしまって、自分の好きなラクガキを作成することに力を入れたかったので、そういう意味でもとても満足しています。
ラクガキ王国2 魔王城の戦い
たしかに、ゲームとしてアラは多いです。
ストーリーが子供向きであったり、一部のワザが極端に強すぎたり、ワールドが少なかったり。
しかし、そこらへんは大して問題に感じませんでした。
実に些細なことです。
この作品の魅力は、やはり「ラクガキ」でしょう。
子供の頃、粘土工作をしていて、誰もが
「これが動き出したらいいのになぁ〜」「これが飛んだり走り回ったりしたら、楽しいのになぁ」と思ったはずです。
なんと、このゲームでは、それが実現してしまうのです!
それも、極めてハイレベルで!
ラクガキの作り方は、まさに粘土工作のよう。
カタチを決め、パーツを作り、パーツの太さや、丸みなどを調整する。
パーツをくっつける場所を決めて、くっつける。
このパーツは、手の動きをしてね、これは足だよ、これは頭の動きをしてね、
これはシッポの機能をするんだよ、これは羽だからはばたいてね、そんな指示を出す。
それだけです!たったそれだけでラクガキの完成です!
それだけで、なんと、しっかりと動き出すのです!
動きの種類も何種類も用意されていて、挌闘家のようにキビキビ動くモーションや、
女の子のようにるんるんと歩くモーション、おっさんのようなガニマタ歩き、
犬の用にすばしっこく走る動きや、馬のように軽やかに駆け回る動き、
ムシのようにカサカサ不気味に這い回る動き、
おもしろいところでは、車輪を装備してすばやく滑らかに動く、なんてこともできます。
そういった基本モーションに加え、パンチ、キック、体当たり、シッポや武器や飛び道具を駆使した
ワザなどを自由に設定でき、その組み合わせは多岐にわたります。
複数のワザをつなげてコンボも可能で、『ジャブ→回し蹴り→アッパーで浮かせる→武器で切り払う』
なんて華麗なこともできます。
何十個ものパーツを細かく作って、精工なモデルを作ってもいいし、
パーツ数個だけで簡単なモデルを作ってもしっかり動く。
慣れが必要ですが、ラクガキツールも使いやすく、工夫次第でいかようにも作ることが出来ます。
ラクガキはまさに自由。既存のキャラを作ってもいい。
好きなマンガやゲームのキャラクターを描いたっていいし、もちろん自慢のオリジナルキャラを作ったっていいし、
何がなんだか良くわからないものだって良い。
足の機能を持ったを腕を描いたっていいし、頭に羽の役割を持たせたっていいし、
おしりがパンチをしたり、髪の毛からレーザーを打ったり、
手だけ異様にでかくしてパンチだけ強化したり、長い足だけで猛スピードで駈けるモデルを作っても良い。
空を飛ぶことや、居合切り、武器の先端からファイヤーボールを打つ、超高速で電撃ををまとって突進する、なんてこともできます。
アイディア次第では、さらにイロイロな特色を持たせることができ、その構造を考えるだけでもワクワクしてきまいます。
というように、実に独創的でハイレベルなキャラメイクができる本作。
暇つぶしにも最適、やりこみ(描きこみ)にも最適、それでいて気軽に始められる、それでいて奥が深い、
そんな素敵すぎる一作です。
即買いからバカみたいにプレイし、購入後数年経つ今でも、ついついプレイしたくなる素敵なゲームです。
ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国
自分で書いたラクガキが実際に3Dで動く姿にまず感動します。思い通りに落書きを動かすには多少の慣れが必要ですが、下手くそな絵でも実際に動いている様を見ると愛着が沸いて来ます。
難を申しますと、書いたラクガキのステータス確認が特定の場所じゃないと行えない事。メインになるであろうデュエルの前後にロードが発生する事、街の人との会話の選択肢でキャンセル出来ない事や戦闘後の結果画面でスキップ出来ない事などが挙げられます。
兎に角デュエルをこなして先を急ぎたいと言うせっかちな方には向かないかも知れませんが、たまには時間をかけてのんびり遊んでみませんか? それだけの価値がこの作品にはあるでしょう。ラクガキの世界は奥が深いのです。