ソフィスティケイテッド・レディース
Cassandra Wilson, Diana Krall, Melody Gardot, Norah Jones, Renee Fleming, Ruth Cameron.
6人の女性ヴォーカリストをフィチャーしたCharlie Hadenの新作「Sophisticated Ladies」は、女性ヴォーカルの素晴らしさとアコースティック・ジャズの魅力を伝えてくれた作品だ。
キース・ジャレット、パット・メセニーなどとのコラボレーションで名を馳せたジャズ界の重鎮ベーシスト・チャーリー・ヘイデンが、オーソドックスなアコースティック・ジャズのユニット「クアルテット・ウエスト」で、洗練された女性を描いたのが「Sophisticated Ladies」である。
今年、73歳になるチャーリー・ヘイデンも意気軒昂なようで、エルビス・コステロ夫人 Diana Krall、チャーリー・ヘイデンの奥方Ruth Cameronも参加させ、「Sophisticated Ladies」は見事に洗練された女性の世界を描いている。
少し豪華な気分にさせてくれたJAZZアルバムであった。
New Moon Daughter
初めて、彼女のCDを購入しました。私にとって、カサンドラは最高のソウルミュージックを提供してくれる、ソウルシンガーだと思っています。
聴き始めたころは、「このアルバム、どんなもんかな〜」て感じでしたが、知らないうちに、彼女の深くてブルーな深淵に、ぐいぐい引き込まれてしまいました。
へんてこりんな喩えですが、浄土へ向かう旅路には、きっとこんな音楽が聞こえるに違いない!と、勝手に思っています。
ニールヤングのコピー「harvest moon」にしびれっぱなしです(笑)。
ザ・スーパー・セッションII [DVD]
90年代初頭の名音楽番組,"Night Music"を発展させたTV特番のDVD化である。ここでの最大の呼び物はEric ClaptonとDavid Sanbornの共演である。両者は映画"Lethal Weapon"シリーズのサウンドトラック等での共演を経て,Joe Sample,Marcus Miller,Steve Gaddとのスーパーバンド,Legendを短期間結成したが,その正式な記録は劣悪なブートレッグを除いて残っていない。それだけに,ここでの共演は,Joe Smapleは不在ながらLegend(メンバーの4/5が揃っている!)の音楽を想像できるものとして貴重なものだろう。Claptonはブルージーに決めまくっており,長年のファンとしてもそうしたギター・プレイを見られるだけで満足度大である。その他の出演者も好演。中でもCassandra Wilsonが素晴らしい。
Silver Pony
ジャンルを超越した選曲センス等「型破り」なイメージのある彼女の作品には珍しく、スタンダードを中心とした構成ながらも
中々の好作だった「Loverly」から2年半、待望の新作の登場だ。ここ数作プログラミングを導入する等新たな方向を模索す
る一方、肝心の作品の質が今一つの印象だった彼女だが、久々に心底楽しめる作品をドロップしてきたという印象。
題にも示した通り、1・2曲目は前作にも収められていた曲のグラナダでのライヴ音源であり、他にも欧州ツアーでのライヴ
音源を複数収めている。残りはニューオリンズでのスタジオ録音であるが、「Beneath a Silver Moon」ではRavi Coltrane(ts
)、「Watch the Sunrise」ではR&B界のスターJohn Legend(vo)をゲストに招き各楽曲に華やかな色を添えている。
しかし何よりも本作の特徴は、ライヴ録音曲を中心とした各バンドメンバーの卓越したプレイが前面に押し出され、従来の彼
女の作品以上に他の楽器にたっぷりしたソロ・パートをあてがい、様々な楽器による演奏を聴ける楽しみが詰まっている。
例えば「Saddle Up My Pony」での冒頭3分にも及ぶReginaldによるブルージーなギターソロ・パートの渋みと味わい深さ、
冒頭「Lover Come Back to Me」で聴ける、前作のスタジオ録音とは別曲のようなHerlim Raileyの気持ち良いブラシ音とスピ
ード感あるドラムプレイ、Jonathan Batisteによる長尺のソロ・パートでの演奏の熱狂振り等、今回一部メンバーを入れ替え
たという彼女の新形態バンドのお披露目の様な内容になっている。どの曲も前作よりも数段面白さを増しているのだから凄い。
一方スタジオ録音ではStevie Wonderのクラシック「If It's Magic」の美しさに惹かれた。原曲はボーカルとハープのみという珍
しい構成だが、あの夢見るようなハープの音色をMarvin Sewellによる温もりあるギターとJonathanのたゆとう様なピアノの
音色で見事に再現しており、それらに濃厚に絡むようにゆったりと言葉を刻みこむCassandaのボーカルが絶品だ。
スタジオ・ツアーのライヴ音源が交互に自然に流れていく贅沢な1時間。本作を聴いて感じたのは、やはり彼女の深みのある
土臭いボーカルには、生楽器による手造り感溢れるサウンドが一番嵌るということ。近作での挑戦的な作風よりもリラックス
感が漂い、初期ブルーノート作品との凄味溢れる感触とも違う、正に現在の彼女の姿を見事に捉えた傑作だ。
カサンドラ・ウィルソン: Traveling Miles [DVD]
音楽のイメージを言葉で表現することは難しいのだろう、Cassandraがメンバーと曲を作り上げていく様子があるが、言葉だけでなく手振りを交えて表現している。あれだけでよくメンバーに理解されるものだ。曲が出来上がった際のほんとにうれしげな様子がうらやましい。Csandraと夫イサークとの会話は言語表現の不十分さがもどかしい、感覚表現が二人とも優れていることがわかる。
これらは、音だけを聴いていたのではわからない、DVDならではのことだろう。