黒船
日本のロック・シーンで一際異彩を放つサディスティック・ミカ・バンド。プラスチック・オノ・バンドをもじったという説を信じていますが、日本に本格的なロックの到来を予感させる存在であったと思います。バンドの最高傑作と言われるのがこの作品です。加藤和彦さんがまだ20代でフォーククルセダーズからロックに一転し、高中正義、小原礼、高橋幸広という物凄いメンバーを集めて、日本よりもロックの本場イギリスで火がつくという、加藤さんの才能が火を吹いたようなバンドでした。
つい最近加藤ミカさんの代役に木村カエラさんでこの黒船の顔ぶれで再結成していますが、オリジナル・アルバムに優るものはないと思います。
1972年に作られた作品ですが、程よい若さと荒削りな音が今聞いても新鮮です。
サディスティック・ミカ・バンド
オリジナル発売は‘73年である。 「はっぴぃえんど」がアメリカのウエストコースト・サウンドに、日本語を乗せた最初のロックグル−プとして、名作「風街ろまん」の評価と共に日本ロック史に常に取り上げられるのだが、忘れてもらっては困るのが、このミカバンドのデヴューアルバムである。
音はもろブリティッシュ、ロンドンである。殆どの詞を作詞家の松山猛が書き、リーダーの加藤和彦が作曲しているが、「はっぴぃえんど」がわざと日本語のアクセントを無視して曲に乗せているのに対して、全くストレートに、詞の一字一句が音符にあっている。だから歌の内容(銀河をイメージした統一感のある詞)とヴォーカルが素直に心に入ってくる。
それに加えて特筆すべきはメンバーの演奏技術の高さだ。いくら音楽センス抜群の加藤でも、そのイメージを具体化するには強力なメンバーが必要だった。当時、殆ど無名だったメンバー(高橋ユキヒロ、20歳!)のその後の活躍を見るにつけ、加藤のメンバー・チョイスのセンスは先見の明があった。 ミカのキャッチーなボーカルと存在もこのバンドを象徴している。
サテンのスーツにフライングVのギター、グラム、ブギのリフ、ファンクなリズム・・・33年後の今聴いても、全く古さを感じさせない。2ndの「黒船」の高い評価はよく耳にするが、この1stの“センス”はもっと再評価されてもいい。「アロハ」のジャケットですぞ!
Sadistics
その昔、糸井重里がやっていたYMOの特番のラジオで「キリンのいる風景」にハマってしまい、その数年後につぶれかけたレンタルCD屋の在庫処分でほぼ新品の状態で購入できました。もう10年以上聴いてますが、全然古くなりませんね。下手にデジタル化された流行曲が次々と陳腐化する中で貴重なCDです。
秘書はスーパーサディスティック (ガッシュ文庫)
タイトルが直球すぎてやや気遅れしましたがS眼鏡攻に飢えていたので購入しました。
平凡な主人公が大企業の会長の孫の代役として抜擢され、攻により教育される、というよくある身代わりものですが、無理めな展開も無難におさめ、文章も読みやすく楽しめました。
前半の攻の秘書の行動はドSというかいじめに見えるような…
(プールに突き落とすというのは大人としてどうだろう(^_^;))
受も前半は真剣に嫌がっているし、脅迫しながら行為に及ぶあたりはこらこら犯罪だよと言いたくなりましたが、攻の熱烈な愛情表現に後半あたりから受がほだされて甘い感じになり、最終的にドSの秘書はわんこ攻に。
さらっと読めて後に残らない。
イラストも癖がない上手さで読者を全く邪魔をしない(これは貴重では)。
正直総合的に物足りないですが、ブレイクタイムにちょうどよいBLではないでしょうか。
レコード・コレクターズ 2010年 08月号
こういう企画に自分の好きなアーティストが入っていないと、たいていの人はがっかりすると思います。
だから、批判も多いのでしょう。ただ、やはり、私は専門家の意見はそれなりに尊重すべきだと思います。
素人のひとより、かなり多くの枚数を聞き込まれていると思うので。わたしも、70年代はちょうど中学の頃ですが、
実際聴いていたのは、小椋佳の“彷徨”とか“残された憧れ” 風、井上陽水、ユーミン、グレープそんなところ。
きっと多くの当時の日本人もそんな感じだった事でしょう。ユーミンや氷の世界以外は、ベスト100に入っていませんが、それはそれで良いと思う。
はっぴいえんど、シュガーベイブ、ジャックスなどは後の時代に再発見=評価されたのですよね。
当時聴いていた人の認識は素晴らしかったでしょうね。ライブに行けた人はラッキーでした。素直にそう思いますね。
こういう雑誌は私たちに対する“啓蒙”の意味もあるのでしょう。素敵なアーティスト、アルバムとの新しい出会いがあるかもしれない。
そういう、前向きな気持ちで読むと色々と伝わってきます。
ちなみに、この雑誌の中で、唯一ユーミンの“ひこうき雲”は当時よく聴いていました。天才少女の登場が眩かった。
“今の”私が1番好きなのは、鈴木慶一“火の玉ボーイ” はちみつぱいの“センチメンタル通り”と高田渡の“ごあいさつ”ですが、
こういう雑誌がないと巡り会えなかった逸品と思います。