女性上位時代
ピチカート・ファイブとの出会いは強烈だった。
日付も覚えている。平成3年9月1日レコード店で何気なく試聴した。聞いたことがないバンドだ。
インタビュー音源(なんでこんなの入ってるんだ?)が終わると突然、アンニュイな女性ボーカルが始まる。
無伴奏からジャズともシャンソンとも言えるバックへ。
「そ・れ・は、私がかわいいから」この傲慢さ、気に入った。
「おはよう」なんだ、この曲調と歌詞のミスマッチ感。後半は狂気だな、こりゃ。
即購入して聞いた。不思議な雰囲気が全編に貫かれていた。
後に、ソニー時代も含め全アルバムを聞いた。
が、このアルバムに漂うサウダージは別格だ。次作「スイート・ピチカート・ファイブ」だけが、辛うじてそれを継承している。
当時、世間的にはまだ無名だったピチカート。アンダーグラウンドな自分だけのお気に入りバンドでいて欲しいと願った。
「スイートソウル・レビュー」で全国的に有名になってしまうのは、その2年後だ。自分には、もはや別のバンドに思えた。
女王陛下のピチカート・ファイヴ
かつてエロチカ大作戦の1曲目だった「ナイロビの女王陛下」とアルバムの最後を飾った「ゴーゴー女王陛下」がカットされています。
ナイロビの女王陛下が無いとエロチカ大作戦が少し寂しいし、
最後の一大サンプリング曲であるゴーゴー女王陛下が無いと編集感覚で出来たこのアルバムが夜をぶっとばせのフェイドアウトで終わってしまうのは違和感が残ります。
THE BAND OF 20TH CENTURY:Sony Music Years 1986-1990
これはピチカート・ファイヴのCBS・ソニー時代のベストアルバム。僕は小さい頃にこのバンドを知ったので、あまりこの時の曲を聴いたことがありませんでした。田島貴男さんも在籍していたことを初めて知った時は、すごく意外に思いました。それに、インターネットでソニー時代の作品を初めて試聴した時は、田島貴男さんの歌声がスピッツの草野マサムネ君に似ていると思い、また、「これは草野マサムネ君じゃないの?」と耳を疑ってしまいました。この頃のピチカート・ファイヴは、すごく初々しく、よく知られている頃のサウンドだったハウスやボサノバ、グループサウンズではなく、純粋なポップスバンドサウンドだったんですね。ピチカート初心者の人は、コロムビア時代のアルバムからではなく、このソニー時代のベストから聴き始めるのがオススメかもしれません。DISC2の貴重なライブテイクと、発売当時まではオムニバスアルバムのみ収録だった『KISS KISS BANG! BANG!』、『ラヴァーズ・ロック』のカップリング(かな?)だった『眠そうな二人』のリミックスバージョンもとてもいいですので。