年収150万円一家 毎日のこんだて
必要な情報はちゃんと書いてあるし、
レシピも、分量は書いてないのも多いが必要な情報は押さえてある。
だが、載っている料理はどれもごく一般的なもので
(貧乏くささがない点は好評価だが)、
角煮を自分で作る程度に料理をする人なら
わざわざこれを買って読まなくても自分自身の
知恵と工夫でなんとでもなるレベル。
限られた予算で生活を楽しんでいるところや
食べ物を無駄にしない工夫には好感を持ったが、
この本に節約術として書いてあることの9割は、実は
「いかに材料や道具を安く手に入れるか」でしかない。
”節約一家の食生活”を紹介した本ではあっても、
”節約レシピ集”とは呼べない。
スーパーで生クリームや豚バラブロックが
半額になるタイミングを狙うのはまあいいとして、
パン耳はいつでも誰でも手に入るものではないし、
懸賞でホームベーカリーを手に入れるくだりは
運任せ過ぎて全く参考にはならない。
「米は夫の実家で作っているのを分けてもらっている」って、
そりゃ反則だろう(分けてもらうのはもちろんいいのだが、
それで「こんなに安くあがってます」って言われても説得力が…)。
著者のライフスタイルを紹介したエッセーとしては読めるが、
節約レシピ本としてはいま一つだし、漫画としては絵がいま二つ。
全般に、予算を手間でカバーするレシピが多いのもちと気になる
(在宅ワーカーや専業主婦(夫)ならいいが、勤め人には
実践はなかなかキツかろう)。
かんたん節約レシピを学びたいなら魚柄仁之助を読む方がはるかに身になるし、
マンガの方がよければたけだみりことかの方がいいんでは。
NOVA 1---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫 お 20-1 書き下ろし日本SFコレクション)
本アンソロジーを作ったいきさつについて、責任編集者・大森 望(のぞみ)、かく語りき。
<SFがこれだけ浸透した現在、本格SFの短編が定期的に載る媒体がもう少しあってもいいんじゃないですか。だれもつくらないなら自分でつくってしまえ──ということで立ち上げたのがこのシリーズ。(中略)編者である大森がいきなりメールまたは口頭で依頼し(一部、自薦・他薦あり)、届いた原稿を読んで勝手な注文をつけ(大幅な改稿はもちろん、最初の作品をボツにして別の作品を送ってもらったケースもある)、最終的に揃ったのが、ここに収められた十一編。> 「序」 p.5〜6より
宇宙を行く無人探査機のモチーフ(『スターシップ (新潮文庫―宇宙SFコレクション)』所収のイングリス「夜のオデッセイ」みたいな、ああいうの)に、タイムトラベル・ロマンス風味の邂逅とをブレンドさせて、胸熱くなる小品に仕立てた、藤田雅矢の「エンゼルフレンチ」。
月面で起きた最初の殺人事件か?! 小松左京ちっくな読みごたえもあり、本格ミステリとしてもよく出来ていて読ませる、山本 弘の「七歩跳んだ男」。
ぶぶっと噴き出すアホらしさも、ここまで大真面目に、かつ、手塚治虫をからめて壮大にやられると、もはや、わくわくするしかなかった、田中啓文(ひろふみ)の「ガラスの地球を救え!」。
私には全然わけ分からん作品もいくつかあったなかで、「これは、面白いなあ。読んだ甲斐があったなあ。」と気に入った作品は、この三つでした。
巻末の「編集後記」に、<今後は、その新城カズマ氏を筆頭に、山田正紀、神林長平、恩田陸、津原泰水、西崎憲、岸本佐知子、東浩紀、曽根圭介、法月綸太郎、伊坂幸太郎など各氏が登場予定(交渉中/三巻以降含む)。ご期待ください。>とあって、いやあ、この作家のラインナップの魅力的なこと。シリーズ第二巻以降も、思いっきり期待したいっ!
年収150万円一家
家族3人、年収150万円で暮らす一家の物語です。
おそらくは、すごく貧乏で粗末な家庭を想像するかもしれませんが、
そういう物悲しさが一切ありません。
人からモノをもらったり、フリマで買いあさったり、懸賞に一喜一憂したり…と、
結構刺激的な日々を送っており、それを心底楽しんでおられるようです。
娘さんが成長したら、それはそれでいろいろと入用なのでしょうが、
ひとまず今現在は、家族3人が健康で毎日笑って暮らしていける、
そんな一家に非常に頼もしいものを感じました。
節約ネタは、某奥様系雑誌のほうがよっぽどバリエーションに富んでいるので、
そこまで期待しないほうがいいかもしれません。
この本は、それよりも「貧乏をエンジョイする心持ち」を
味わうとよいかと思いました。