トラスト・ノー・ワン
「切ない音楽だなあ。」 これが私のこのアルバムの第一印象でした。 デイヴ・ナヴァロといえば、Jane's Addiction,Red Hot Chili Peppersのギタリストとしてあまりにも有名です。でもソロアルバムは初ということですが、私にとっては期待通りのすばらしいアルバムです。 歌詞の内容がとてもダークなのに、きらきらと優しさが伝わってきます。
デイヴには母親を目の前で殺されたという暗いエピソードがついてまわります。幼少の頃の恐ろしい記憶、それから起こる人に対する不信と絶対的孤独。このアルバムを聴いていると、そういったものが率直に、けれど、とてもポジティブな音から伝わってきます。
毎日、学校に行ったり、バイトに行ったりして生活していると嫌なことが山ほど起こります。「こんなに嫌なことを経験するのは私しかいない。」と自分を哀れんでしまう癖 のある私に、デイヴのこのアルバムは自分の甘さを教えてくれました。孤独だと感じるのは自分だけじゃないと。 その孤独を抱えながらも存在している僕がいるじゃないかと。
アルバム全体を聴き終わった後、涙が出そうになったのは、デイヴのどこまでも優しく美しい曲に包まれたからでした。