Have a Nice Trip
ドイツのゴシック・トラッド・デスメタル、ダイ・アポカリプティシャン・レイターの2003年作
ジャケのメンバー写真からも一癖ありそうな連中だが、サウンドはのっけからブラックメタルばりに疾走、
…したかと思えば、はっするような泣きの叙情メロディが現れて、なんとも美しい。
勇壮なドイツ語の歌声とともに、中世を思わせるような幻想的な世界観とほのかなトラッド風味、
そして暴虐さとシンフォニックさとの極端なまでの対比が面白い、ある意味、妖しいセンスに満ちている。
ようするに、ロマンにあふれた知的な変態というべきか、異色のゲルマンメタルバンドである。
ボーナスにはMANOWARの“Master of the Wind”のカヴァーを収録。これがまた美しい。
Riders on the Storm
ドイツと言えばスコーピオンズやアクセプト、最近ではラムシュタインが有名ですが
何故こんな高品質なバンドが無名なのか疑問に思うばかりです。
特筆すべき所はボーカルのフーフスの声の多彩さ!時に激しいシャウトをし、デスボイスも伸縮自在。
加えて曲によってはラムシュタインのティルのようなオペラティックな低音も使い分けてくれます。
スタイルはスラッシュメタル/メロデスですが、時々民族音楽っぽくなったり、
「in the land of white horses」ではきれいなピアノのインストゥルメンタルを聞かせてくれたり、
疾走するギターからはスラッシュ、ジャーマンメタルの香りがぷんぷんしており、リスナーを飽きさせません。
入手しにくいのが難点ですが、手に入れる価値は十分です。
Moral & Wahnsinn
ドイツのゴシックデスメタル、ダイ・アポカリプティシャン・レイターの2011年作
今作もジャケからして妖しさプンプンであるが、メロデスばりのツインギターで疾走開始、
…したと思いきや哀愁溢れるアコースティックギターとシンセにドイツ語の歌声が乗り、
すでにのっけからシアトリカルメタルが全開。この異様なクオリティの高さはなんなのだ。
無茶な展開と本気のエピックさに知的なはっちゃけが合わさった、シンフォニック叙情メタル。
中世ゲルマントラッドの世界観とクラシカルな優雅さが、現代的なごった煮センスで絶妙にハマって、
濃密でありながら美しく叙情的という、他に類を見ないサウンドに仕上がっている。
ある意味プログレッシブな深さ…そして、なにも恐れぬセンスに包まれた驚異の傑作!