813 (続) (新潮文庫―ルパン傑作集)
『813』の続きです。とにかく本当に完成された作品で、ルブランの名人芸によって綴られる
展開にはまったく隙がなく一気に魅せられます。
表題の『813』を始め次々と謎が解明されていくカタルシスに、アクションたっぷりの冒険が
胸を躍らせてくれます。そして、深淵の岸に立つように深まってゆく中、明かされる真相達は
二重、三重、四重の意味で衝撃があります。
亦、エピローグなんかでの憎い演出が好いんですよ。これがあるから《悪》なんだけど愛らし
い魅力があるんだなあ。さて、何はともあれお奨めです!寝不足覚悟の面白さですよ!!!
813 (新潮文庫―ルパン傑作集)
推理小説はあまり好きなジャンルではないが、ルパンものだけはいつか読んでみたかったので、シリーズ中の傑作と呼び声の高いこの作品を選んだ。ルパンとはこれほど凄みのあるキャラだったのか。天才的頭脳、非情な悪人だが人間的な面もある。危機的局面では案外動揺したりする。ラストのどんでん返しは意表を突かれた。ただ、813は謎のまま続編へという進展はやや不満だ。それでも、起承転結の整った骨太の傑作といえる。
訳文は読みづらいというイメージがあったが、非常に読み易かった。
8・1・3の謎―怪盗ルパン全集 (ポプラ文庫クラシック)
この「ルパン・シリーズ」は私の読書人生の原点だったと思う。当時の本は、丸背でハードカバー、そして手ごろな厚み。いかにも「本」という風格があった。だから、これを片手に学校に行き、休み時間になると、一人静かに読む…なんていう姿がちょっとカッコよく見えたりするわけで、最初は「格好」から読み始めた。でも、読み始めると、止らない。泥棒というアウトローな存在なのに、なぜか正義の味方のような存在。しかも、何でも余裕顔でこなしてしまうからたまらない。まさに、あこがれのヒーロー・心の中の恋人だった。
その本もいつの間にか本屋から消えてしまい、寂しい思いをしていたが、また復活。文庫本になってしまったのが惜しいが、当時の値段とほぼ同じ(だったと思う)というのが、嘗てのファンとして嬉しかった。