逃亡くそたわけ 21歳の夏 [DVD]
精神病院から逃げ出してきたふたりの男女が繰り広げる、幻想的なロードムーヴィー。ホンそのものは、ふたりが逃げているのに誰も追いかける気配がないとか(笑)、奇想天外というか、まあ変わった作品ではある。本作の魅力は、やはり主演のふたりに尽きるだろう。美波の不安定な表情と演技は、純粋に「凄いなあ」と思うし、吉沢悠はさすがに邦画メジャー俳優だけあり、抜群の安定感で映画を引っ張る。恋愛映画でもあるのだが、全くそれらしいシーンがない(誘惑はあるけど)のもなんか微笑ましい。ワーナーブラザーズ日本は何を持って本作を見出したのかは定かではないが、本当にBの匂い満載の作品で、これはこれでいいかな、と楽しく観れる佳作となっている。ただし、予算的な問題はあろうが、撮影が「綺麗」ではないのが残念。せっかくの海や青空がほとんど活かされていないのだ。例えばこういうBノリの作品も大好きだった篠田昇が本作を手がけたら、本当に凄い絵を作ったのではないか。俳優も大事だが、背景も大きな要素を持つので、ここはもう少ししっかりと撮ってほしかった。ちょっと毛色は違うけれど「クワイエットルームへようこそ」が気に入った人は、本作も気に入るかな、という感じ。ジャケットから明るめの内容を期待すると裏切られるので、沈んでいるときに観るのはお勧めしません(笑)。
TOP OF THE FUCK’N WORLD
最近、知名度を上げつつあるミイラズのサードアルバム。
タイトルからして、すごく不穏な雰囲気を漂うアルバムなのだが、今まで一番素晴らしいアルバムだった。
元々、イギリスのガレージロック・リバイバル(というかアークティック・モンキーズ)の影響が顕著だった彼らだけど
このアルバムでようやく自分なりの言葉とサウンドを発見した。
端的に言うと、ミイラズというバンドを確立させたということ。
特に、初っ端のトップオブザファッキンワールドはかなり不穏でダーク。
ガレージロックのリフとニューレイブやグライムのビートを混ぜ込みつつ、いかにこの世が腐りきっているか
ラップとも語りともつかない歌で叩き付けている。
この歌詞が非常に素晴らしい。今、ここまでリアルな世界を描ききれてるバンドは彼らぐらいだろう。
もちらんラッパーならシーダやスラックなど、社会性のあるリリックを書くミュージシャンはたくさん居るのだけど
ことにロックバンド、しかも若手となるとほとんどいない。
日本のバンドの弱さは、社会性を歌詞に盛り込むことができないとよく言われるが、彼らはそこをうまくクリアしている。
実際、歌詞を追うだけでもかなり面白い。
実際、このアルバムに漂うのは、不安で先が見えなくて、誰もが愛されたがって、批難しあっているという日本の現状とリンクする世界観だ。
トップオブザファッキンワールドとはまさしくこのことだろう。
だが、その一方でアイスクリームや君の料理などナンバーでは、愛する人の温もりがあれば、なんとか生きていけるよと伝える姿も見える。
ただいま、おかえりやいつまでたってもイスタンブールでは、停滞感のある普通の若者の日常が描かれる。
美しいものも汚いものも全て世界であり、楽しい事も悲しい事も、将来への希望も絶望感も全てどこにでも転がっているものだ。とこのアルバムは雄弁に語る。
人の温度がする音楽というのを久々に聞いた。暗いけど、とても優しいアルバムです。
ビースティ・ボーイズ 撮られっぱなし天国 スペシャル・エディション [DVD]
客席にいるノリノリのファンが撮ってるので、
当然アングルやピントは無茶苦茶です、だってノリノリで撮ってるんだもん。
手振れは手振れをとうり越してます、だってノリノリで撮ってるんだもん。
なので、見てる僕もノリノリです。
このDVDは、見って言うんじゃないですよ。
実際にLIVEに行ってる感じ。
僕の部屋は89分間マジソン・スクエア・ガーデンになりました。
We Are The Fuck’n World
アクモン系の曲が少ないのは残念
ただ、それをふまえても何度も聴いてしまう魅力を持ったアルバムです。
「正式にはフランケン〜」や「なんでもない、なんでもないよ」が中でもお気に入り。
「今にも落ちてきそうな〜」の疾走感も好きです。
次のアルバムは疾走感のある曲がまた増えることを期待したいですね