ベスト・オブ・スティーヴン・ビショップ
「死にたくなったら笑ってみせるさ」
というサビのフレーズが泣かせる「オン・アンド・オン」
で始まる90年前後までのベスト盤です。
「オン・アンド・オン」はアルバムと、ほんの少しだけ
ミックスが違うシングルテイクです。
映画の曲もまんべんなく収められていて、
良心的なベストです。
ビショップは、70年代のシンガーソングライター・ブームと
その後のAORの橋渡し的存在なので、
どちらのジャンルのファンにもお薦めです!!
ユーチューブにアップされているビデオで、
デビュー当時のテレビ出演が見られるものがあって、
ヒゲもじゃのビショップに女の子たちの
黄色い声援が飛ぶのが、笑えます!!
その時期だけ、のお洒落さ、センシティブさ、
ではなく今でも何も古びていないビショップの
魅力に、若いあなたも、
触れてみてください!!
チャイナ・ブルー
NHK『ダーウィンが来た』エンディングテーマ曲を目当てにこのCDを手に取った。が、その曲は単体で聴いてみると、「これから必死の生存競争に立ち向かう雛たち」という番組の定番の終わりかたとは裏腹に、夜のジャズ・バーのような場所がイメージとして湧いてくる。これは他の曲にしても同様。
一部にはアカペラの曲や中国テイストを強く押し出した曲もあるが、全体的には派手に盛り上がることもなく、「オトナの世界で、お酒の供に」という印象を強く受けた一枚である。
キング・ラット (BOOK PLUS)
中世のハメルンの笛吹き男の話が、ドラムンベースのビートにのって蘇る。荒唐無稽な筋書きは、それ自体で面白いが、音楽的な描写の部分はいまひとつうまくイメージできずに退屈だった。それ以外は、長編ではあるがテンポもよく、飽きさせない物語構成で、面白かったと言えるだろう。
それにしても、子どもの頃、ハメルンの笛吹き男は言い人だとばかり思っていたのに、大人のファンタジーの世界ではそうとばかりも言えないようだ。もっとも、ネズミを退治したお金を村人が払わなかったので、怒った笛吹き男は、子ども達をみんなさらっていってしまったのだから、いわば血も涙もない誘拐犯でもあるわけだ。そのあたりの残虐さがこの『キング・ラット』には描かれている。