戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010 DVD-SET
初代と比べて劣ると言われることが多い『2010』ですが、個人的には噛めば噛むほど味の出る作品だと思います。
初めて見る方の為に、この作品の楽しみ方、裏事情などをフォローしておきます。
まず初代アニメ最終回から連続性がないのは、間にトランスフォーマー ザ・ムービーという作品が入るせいです。
この映画中に、物語の根幹を揺るがす大イベントやメインキャラの交代劇があるので、とばすと非常に混乱します。
コレを先に観て下さいと言いたいところですが、残念ながら現在絶版なのでWIKIなりを参考にするしかないです。
今回、同時に再販してくれれば良かったのですが・・・。
次は作画がかなりショボクなった点ですが、
今回東映の作画チームは上記の『ザ・ムービー』にかかりきりで、代わりにAKOMという韓国のスタジオが作画担当しているせいです。
しかし10話以降は殆どが東映作画になるので初回を乗り切れば何とか(?)なります。
TF上級者になれば作画ミス・崩壊もある意味楽しめる部分になるでしょう。
脚本の調子が文字通り「おかしい」。前作をしのぐほどのハイテンションです。ひとえに発狂したガルバトロンのせいかもしれませんが…。
前作から好調だった政宗一成氏のナレーションがパワーアップ。
更に今作から『2010情報』という政宗氏一人語りのコーナーがあるので政宗ファンは必見です。
石丸博也氏や加藤精三氏ら、声優の皆さんの名(迷?)調子も前作に負けず劣らず良いです。
『DVD−SET1』『DVD−SET2』のご購入を検討なされてる方は
前評判で敬遠なさらず、ぜひ『2010』も併せてご購入検討下さい。
最後に注目するべき話をピックアップしておきます。
『初回5話(北米で言うFive Faces of Darkness5部作)』
作画崩壊してる上、5話連続の長編でかなりかったるいので根気で乗り切って下さい。
『スタースクリームの幽霊』
あの人気キャラが意外なかたちで復活!ビーストウォーズでも同じネタで登場しました。
『音楽惑星の挑戦』
今や語り草となっている、伝説の作画崩壊回。
『クモの巣惑星』
日本人の頭では到底思い付かない"迷"作。ママーーーー!
『人間トランスフォーマー』
地上最強のエキスパートチーム G.I.ジョーとのコラボ回。(一部だけですが)
『原始の呼び声』
明らかにいつもの作画チームじゃない。TF随一の良作画回。
『コンボイの復活 パート1・パート2』
宇宙の危機にみんなの司令官が帰ってきた!
七人の侍(2枚組)<普及版> [DVD]
50年以上前の白黒映画、3時間以上の超大作、しかも時代劇なんて
なぁ・・・といった感じで敬遠しておられる方は多いかと思いますが、
そんな点を敬遠して観ずにいる方は絶対損している、と断言します。
笑いあり・涙あり・豪快なアクションもあればほろ苦いラブストーリーもあり
の盛りだくさんなお話を楽しめるという点はもちろん、各人『これまでの人生』
がこういうふうだったんじゃないか、『これからの人生』がこんなふうになるん
じゃないか、ということをついつい考えてしまうくらい、深くつくりこまれた登場
人物たち(決して【勝ち組】じゃないしスーパーヒーローじゃないけど、でもみんな
一生懸命な素敵な人たちばかり)に感情移入するもよし、今はその多くが鬼籍
に入られた名優の皆様の好演を楽しむもよし(私の幼少時【古きよき日本の
お父さん】代表みたいな人だった三船敏郎さんが若かりし頃はこんなカッ飛んだ
キャラクターを演じていたのか!と驚きました)、何度観てもいろんな楽しみ方が
できると思います。
そしてとにかくこの映画は、登場人物それぞれが見る人にいろんなメッセージを
投げかけてくる『すごい人間ドラマ』です。見た後で中高生諸君が、逆境にもあきら
めない利吉をかっこいいと思い、勝四郎のように人生の師を探そう、と行動するもよし、
大人がいつかは勘兵衛のような素晴らしい大人を目指そうとするもよし、自分のできる
限りのことを精一杯やろうとする村の百姓たち一人一人に負けまいとするもよし、
とにかく人生へのメッセージでいっぱいです。かつ同時に、『盛りだくさんなエンター
テインメント』なのを両立している点で、余計にすごい映画なんじゃないかと思っております。
まあ、自分あたりがあれこれ御託を並べるよりも、とにかく観て欲しい映画です。
同世代の女性の皆さん、ふやけた『月9』なんかよりずっといいから。
七人の侍 [Blu-ray]
本製品、映画通の厳しい批判の矢を全身に浴びていたが、そういう扱いをされるような酷いものではない。というよりも、画質も音質も今まで鑑賞したことのある同作製品の中では最良と思われるのだ。
確かに「羅生門」の出来は最高だった。画質的にあれ程のきめ細かいレストアをされてしまうと技術者達の仕事に敬意を示さざるを得ない。それに比すると、本作BD版の修復は完全とは言い難いだろう。何よりも時折入るゴミやキズが気になる。ただ、それはあくまでもBDとして「羅生門」並に期待して観た場合であって、古い映画であり、原版の保存状態などを鑑みると、それ程この仕事を批判する気にはなれない。いや、よく修復している方だろう。DVDのレストア物と比較すると、やはりそれなりにキズが控えめになっていることは明らかだ。しかもHD画質の鮮明さでそうなのだから、実際にはかなり目立たなくなっているのであろうと想像される。一部全体の劣化が激しく酷い画像の箇所があるが、技術屋さんも魔法使いではないのでこれを完全に修復するというのは困難だろう。
また、全体的な画像のコントラストや輪郭のシャープさは本製品で初めて得られたのではないかと評価できる程に仕上がっている。俳優の肌の質感が良く分かる。
DVDと比較して進歩がないとおっしゃる方や、劣るとお考えの方は相当厳しい鑑賞眼をお持ちなのか、BDで発売する製品に対してそれなりの高い閾値を求めていらっしゃる方なのだろうと思われる。だが、考えて欲しい、本作は1954年の作品だ。修復してこれだけの鮮鋭度を得られるだけのマスターが残っていた事自体ありがたいような作品だ。「羅生門」がファインプレーなのであって、決して本作が悪い仕事な訳ではないのではなかろうか。
画質の評価はさておき、音質の面では快挙と言えるレベルに達している。旧来の本作の音声は字幕無しで聞き取れるものではなかった。ノイズが異常に多いのに加え、セリフ等の音声が篭ってしまっており、「ザラザラした中にゴニョゴニョと何か話している」と表現せざるを得ないようなものだった。
BD版の快挙は、Dolby TrueHDのリミックス5.1chだろう。字幕無しでセリフが分かるのだ!この感動は「七人の侍」の音にジレンマを感じたことのある諸兄には理解していただけるのではなかろうか。しかも、5.1chではあるものの元がモノラルの物であるので、それ程の立体感がある訳でもなく、元もとの音声の雰囲気は十分に保てている。オリジナルのモノラルLPCM、91年版 2ch LPCMも収録されているが、Dolby TrueHD リミックス5.1chの音の良さには飛び抜けた観がある。
画質云々をおっしゃる方でも、音質面では今までに無かった物を感じられるであろうことは間違いない。個人的に画質も一定の評価をするが、本作BD版は音に尽きる。これもHDの楽しみである。
とはいえ、古い作品である。それを十分に念頭において、そのワビサビも楽しまなくてはもったいない。
【補足】
クライテリオン版が届いたのでざっと比較してみた。
まず画質に関してであるが、流石クライテリオンと唸らざるを得ない。既に述べたようにマスター自体がひどい状態なので、クライテリオンとはいえ無傷とまではいかなかったようだ。いわゆる雨のような多くの縦線は残存している。ただし、国内版と比較すると随分と控えめにはなっており、画として観易い。コントラストの付け方も絶妙で、全体的にしっかりした画像とすることに貢献しているが、夜の場面はやや暗すぎる部分が多くやや観づらい。また、好みは別れるところだが、コントラストを強くすることでフィルムグレインがやや強めに出ており、粒子感は国内版より目立つかもしれない。輪郭の鮮明さは五分といったところ。際立っているのは場面ごとの画質のバラツキが極めて少なく、安心して観ていられることだろう。
音質に関してもクライテリオン版は健闘している。LPCMのモノラルと2chが収録されているのだが、どちらの音声も台詞を聴き取るに十分足る鮮明さを有している。音の立体感では国内版のリミックス5.1chには及ばないし、どちらが聴きやすいかと問われれば国内版の5.1chなのだが、モノラルと2chでこの音質を実現したことは素直に敬服に値する。これならば日本語字幕なしでどうにか大丈夫だろう。
全体的な完成度ではクライテリオン版に大きく分があると思われる。しかし、どちらも長所・短所を有する上、古い映画らしさも影響すると思うため、好き嫌いは別れるだろう。個人的には当時の劇場らしい雰囲気の画質を味わえる国内版も嫌いではないので、どちらも手元に残す事にする。