斬る [DVD]
仲代達矢のファンなので観ましたが、正直監督のことまで考えていませんでした。
インタビューで仲代達矢は岡本監督を「そんなことやっていいの?」というようなことをやる監督だったと言っていました。
黒澤監督とはまた違った雰囲気があって、面白い作品でした。
神山繁の冷酷な悪党ぶりも良かったですし、高橋悦史のずれた一直線ぶりも名演技でした。
もちろん主役仲代達矢の肝心のところですっとぼけた演技が傑作です。
それだけに過去に負った傷が強調される演出が興味深かったです。
そのほかには、初代黄門様の東野英次郎のとぼけぶり。
岸田森の演技を観られて「傷だらけの天使」を観ていた私にはとっても嬉しかったです。
高橋悦史は、後に「鬼平犯科帳」で佐嶋の役で重厚な演技を見せてくれたのが、懐かしいです。若い頃はこういう役も演じていたんですね。
仲代達矢が「喜八ちゃん」と言うくらい気が合った理由が分かる、面白い作品でした。
抱擁、あるいはライスには塩を
絶対に映画化しないでほしい。
この小説が描いている世界観は文章だからこそ読む人の想像力をかき立てるのだし、どの章を外しても成り立たない密度だと思う。
全部読んできた江國香織作品の中でも本当に素晴らしい作品だと感じたし、吸い寄せられるように再読してしまった物語。
邂逅の森 (文春文庫)
秋田のマタギ富治の大正から昭和初期にかけての半生を描いた作品。抗い難い力によって人生の重荷を背負わさされた人々が、それでも懸命に生きていく姿は感動的です。テンポの良いストーリー展開にぐいぐい引き込まれる感じ。クライマックスの富治とクマの死闘は物凄い迫力です。
パレード (幻冬舎文庫)
読み終わって、とにかく「すごいな…」と一言。
日常の異常、人間関係の距離感。こうもリアルに描くことができるのか と。
話す言葉や態度やふるまいなど、目に見えるものは、ほんの一部分なのだと、分かっているが認めたくないことを、見せつけられた気分である。
痛みと共に、納得と安堵に気づき、軽いショックを感じもしている。
それぞれ読んだ人が、必ず何かを感じる作品であることは間違いないだろう。