ナポレオン帝国 (ヨーロッパ史入門)
フランス革命からナポレオン時代はヨーロッパ史でも特に輝かしいハイライトではあるが、それだけに「影」の部分も大きく、国民感情やイデオロギーもからまって、評価には難しいところがある。
本書はイギリスにおけるナポレオン帝国研究の一つの到達点を示したものである。行政組織、法制度、軍事、経済、教会と国家といったテーマについて、「ナポレオンはフランス革命の継承者か、破壊者か」という問題意識のもとに、地道だが確実に論考を積み重ねていく。
その結果、示されるのは「継承者であり、破壊者でもある」という一見無責任なようだが、穏当で誠実な答えである。どんな点で継承者であり、どんな点で破壊者であるのかがしっかり考察され、論じられている包括的な研究書なのである。